鳥取県議会での市谷県議の活動を中心に、日本共産党のとりくみを紹介します。

 

 

11月県議会

 11月県議会にあたっての平井知事への予算要望を11月1日に行いました。

 内容は、公立病院再編統合案の撤回と鳥取県説明会開催。公立病院の療養病床廃止に伴う介護医療院への転換による交付税措置を廃止しないように。地域要望を踏まえた医師確保計画。近年の台風被害を踏まえた災害対策。指導監督要領を満たさない認可外保育施設への保育料無償化問題。長時間労働となる教員の変形労働時間制導入反対。鳥取大学授業料減免の継続。ジャパンディスプレイやひよこカンパニーの雇用問題。国保料滞納差押え問題などです。
 

【要望書全文】

鳥取県知事 平井伸治 様
                                   2019年11月1日
                               日本共産党鳥取県議 市谷知子

2019年11月議会予算要望

 台風及び豪雨被害が相次ぎました。改めて、お亡くなりなられた方に哀悼の意を述べ、被災された方々にお見舞いを申し上げます。そして、鳥取県としても、被災地支援に取り組んでおられることに敬意を表します。
 想定を超えた災害が多発する時代の中で、今ほど、住民の生命・財産を守るべく行政や地方自治体の役割が問われているときはありません。災害対策や被災者支援の在り方を、再検討・再構築することを強く求めます。
 同時に、こうした非常時には、あらゆる行政施策の日常の在り方が、真に国民・住民の願いに沿ったものになっていたかどうかも、問われてきます。しかし、10月から実施された消費税10%増税は、国民と経済を不安に陥れ、先行きが見えない状況を作り出し、被災者の不安を駆り立てています。安倍政権が公立・公的病院の再編統合案を一方的にリストアップ・公表し、病院関係者や住民から憤りの声が上がり、「地域に病院がなくなったら災害時にどう対応するのか」と疑問の声も出ています。関西電力美浜原発に関連しての「原発マネー還流事件」は、真相究明が行われず、このまま危険な原発再稼働を進めていいのかと疑念の声が上がっています。
 こうした国政上の問題が次々と浮かび上がる中で、閣僚の問題ある言動が続いています。「菅原経産大臣が金品・香典問題で大臣辞任」、「河合法務大臣が妻の選挙アナウンサー報酬問題で大臣辞任」、「萩生田文科大臣が大学入試民間英語検定問題での身の丈発言で謝罪」、「河野防衛大臣が台風被害に関連して雨男発言で謝罪」、「小泉環境大臣が気候変動対策問題でセクシー発言」など、政治不信につながっています。安倍首相は、自らの任命責任を認めながら、まともな説明も対応もしていません。国民の立場にたって問題解決を図るよう求めるものです。
 そしてこの状況下、公立・公的病院再編統合問題で、平井知事が厚労省に対し、白紙撤回を求める発言をしたことは、関係者を勇気づけています。様々な問題が、国民・住民を不安にさせている昨今において、こうした住民の立場にたった毅然とした対応をとることは、非常に重要です。
今後ども、あらゆる問題で、住民の利益を守る立場を貫いていただき、また11月の予算編成にも、住民の願いを存分に反映していただくよう求め、以下要望します。

【公立・公的病院の再編統合問題】
1 再編統合案の撤回を
 厚労省が、一律の基準で一方的に424の病院を名指し(鳥取県内では、岩美病院、西伯病院、日南病院、済生会境港総合病院)した公立・公的病院の再編統合案は、いまだ撤回されていない。それどころか、10月28日の経済財政諮問会議では、引き続き来年9月末までの再編統合案にそった再検証を求め、更には民間医療機関のデータ公表、重点支援区域の設定、ダウンサイジングする際の財政支援など、病院の再編統合を強行しようとしている。名指しされた県内医療機関からは、「一方的に言われるのは地方の否定につながりかねない」、「地域医療は急性期から在宅まで一環したものであって、急性期を切り離して評価するのはおかしい」、「これまで取り組んできた地域包括ケアが評価されていない」、「公的病院は不採算医療も担っている。地域でそれを支えることが必要」、「地域から病院がなくなったら住民が病院に行けなくなる」と、いずれの病院も今回の再編統合案への憤りが語られ、スケジュール通りの再検証にも否定的であった。また10月30日に実施された中国四国ブロック説明会では、古い29年度の病床機能報告書の一部だけを活用してデータを出しているため、すでに廃止された病院まで再編統合案に入っていることが明らかになり、データの信憑性も問われる事態となっている。しかし、厚労省は、今回の名指しされた公立病院だけでなく、その他の公立病院や民間病院もデータを出し、全ての病院が再編統合の対象になるように発言している。これ以上、上からの病院の再編統合を進めさせてはならない。再編統合案と再検証スケジュールの撤回を求めること。


2 公立病院維持のために
 療養病床をもつ公的病院からは、療養病床の廃止・転換が迫られているが、介護保険の介護医療院では報酬が少なく、介護職員の確保が困難であること。また医療機関であることで得られた不採算医療の交付税措置がなくなり病院経営ができなくなるなど、苦難の声が出ている。療養病床の廃止・転換が行われたとしても、従来の不採算医療地域への交付税措置を継続するよう求めること。


3 公立病院の機材導入支援
 公立病院が行う施設等の整備に対する借入金の償還支払い利息に対し県が補助を行っている
(自治体病院補助事業)が、1/2の補助率を引き上げ、支援を強化すること。


4 病院の消費税
 病院の消費税は、診療報酬には反映されず、収入には消費税が反映されていないにもかかわらず、機材等の購入と、それの確定申告の際にの2重に消費税がとられる仕組みであり、消費税だけでも莫大な負担となっている。病院の消費税負担をゼロにするよう求めること。


5 「医師確保計画」について
 国は、各県に来年4月に施行する「医師確保計画」の策定を求めている。医師の偏在是正をするとのことであるが、国が示す目標医師数では、鳥取県全体で1699人が1303人に、東部圏域では524人が394.2人に、中部圏域では211人が171.3人に、西部圏域では964人が430.9人に減少させられる。県内の医師充足率は全県83.2%、東部圏域79.7%、中部圏域71.8%、西部圏域83.7%と、必要医師数を満たしていない。当直後も通常勤務を強いられている医師の働き方の改善や、人口が少なく非効率であっても地域医療を守る医師の役割への評価をしないで、人口基準だけで医師の偏在是正の計画を立てれば、医師不足で、地域医療が担えなくなる。国の指導にそった目標医師数を設定するのではなく、関係医療機関が必要とする医師数の目標値とすること。また必要医師数が確保できるよう、医師養成を増やすよう国に求めること。

【災害対策・被災者支援】
1 河川整備計画の改善
 県内河川について、台風19号のような、今日的でこれまでの想定を超えた豪雨を反映した河川整備計画へと、国及び県ともに見直しをはかること。


2 ダム管理と事前放水
 現在鳥取県内には、県河川課管理ダム5か所、県治山砂防課管理ダム1か所、県企業局管理ダム3か所、国交省管理ダム2か所、農水省管理ダム4か所があるが、今日的で、これまでの想定を超えた豪雨を反映した、ダム管理や事前放水の在り方を再検討すること。合わせて、事前放水をする際の住民への連絡や避難の在り方も再検討すること。


3 要配慮者利用施設の避難計画
 改正水防法で「要配慮者利用施設」の避難計画作成が義務付けられたが、鳥取県内では対象339施設のうち174施設しか、避難計画が作成されていない。作成率99%の宇都宮市では、危機管理部局と福祉部局が連携して説明会を開催し、計画のひな型も用意しているとのことである。また現在、計画作成にあたる市町村職員が減少している。県が計画作成に当たって、人的・財政的支援をすること。


4 ハザードマップ作成と避難計画・避難所のあり方
 県内ではハザードマップ作成率は100%とのことであるが、今日的な想定を超えた豪雨に対応したものへと改善すること。実際に住民が、どのように、どこに避難するのかは、住民任せになっている市町村が多い。洪水時の避難場所が定まっていない地域や自治体も多い。具体的な避難計画の作成や、大量に発生する避難者の避難所確保、早期集団避難のための交通手段確保などに対し、県が支援すること。避難所については、洋式トイレ、テレビ・通信手段、冷暖房、段ボールベット、家族テントなど、避難生活がより快適にすごせる状態となるよう県が支援すること。また内閣府の「避難所運営ガイドライン」を改めて市町村に徹底し、鳥取県版も改善すること。


5 被災者生活(住宅)再建支援制度の充実
 国及び県の被災者生活(住宅)再建支援制度の対象を、一部損壊(床下浸水)、床上1メートル未満(半壊)にも広げ、発動要件を緩和して被災住宅1件からでも制度が発動できるようにすること。支援額は、最高300万円をせめて500万円まで引き上げること。


6 被災判定について
 被災者生活(住宅)再建支援制度にかかる、判定作業は、二次調査もあることを住民に周知し、損壊率は一次、二次のいずれか高い方が選択でき、支援金が多く出るようにすること。


7 被災中小業者・農業者支援
 被災中小業者や農家(農作物被害、農機具被害)に対して、被災1件から支援が発動できる制度を、国及び県で構築すること。農業収入減少の際の保証制度である、収入保険制度、共済制度、ならし対策などの掛金補填、保証率の引き上げを国に求め、県としても独自支援を検討すること。


8 災害ケースマネジメントの教訓を生かす
 災害ケースマネジメントが被災者の生活再建に一定の役割を果たし、中部地震から1年を超えてブルーシートがかかっていた住宅が、昨年10月末268件、今年9月末には200件に減少している。この災害ケースマネジメントでは、通常の一部損壊住宅支援30万円を超えて、58.4万円の屋根修繕促進支援事業補助金が出て、生活困窮者の住宅再建に大きな役割を果たしており、この支援額であれば、生活困窮者であっても、もっと早くに住宅再建ができることを示している。県一部損壊支援金を30万円から58.4万円(災害救助法の応急修理相当額)程度まで、引き上げること。

【日米貿易協定・デジタル貿易協定】
1 日米貿易協定と影響試算
 日米貿易協定の農林水産物生産額に対する影響額が、600億円~1100億円、TPP11との合計では1200億円~2000億円と政府が暫定試算し、当初の政府の説明とは違い農業生産額が減少することが明らかになった。同時に試算は、具体的な根拠が明らかになってない。しかも対策をとれば影響はないというが、対策も打ち出されていない。これでは内容の是非の判断もできる状態でない。農業生産額が減少し、加えてこのようないい加減な状態で、日米貿易協定を承認しないよう求めること。また県としても影響試算をすること。


2 日米FTAについて
 当初から政府は日米貿易物品協定(TAG)であり、日米自由貿易協定(FTA)ではないとしてきたが、日米共同声明では「サービス貿易や投資に関わる障壁、その他の課題について交渉を開始する」と明記され、今回デジタル貿易協定も提起され、今後サービスなども交渉する予定であり、事実上の日米FTAである。国民に内容も知らせず、嘘とついて、経済主権を売り渡す、日米FTAは承認しないよう求めること。


3 国への要望活動について

 9月議会で、日米貿易協定の影響試算や、農業対策等について、関係団体と協議し、今後要望活動なども考えるとの答弁があったが、どのように対応したのか、回答すること。
4 所得保障について
コメ戸別所得補償制度の復活や、ナラシ対策、収入保険制度、共済制度など、所得補償制度について、掛け金支援や、保証率の拡大を、国・県で行うこと。

【教育の機会均等】
1 大学入試への民間英語検定導入について
 来年度の大学入試から、民間英語検定の活用が導入される予定であるが、「身の丈にあわせて検定を受けたらよい」との萩生田文科大臣の発言は、教育の機会均等を保障すべき文科大臣として許されない発言であり、罷免を求めること。また民間英語検定はお金もかかり、他県で検定試験を受けなければならず、地方の受験生にとって非常に負担となり、入試に経済や地域格差を持ち込むものであり、実施延期あるいは中止を求めること。


2 高等教育の無償化制度について
 安倍政権の「高等教育無償化」制度は、すべての学生が対象ではなく、その上新制度と引き換えに、これまで国立大学で行われてきた「授業料減免制度」の財源である国交付金が廃止されようとしている。その結果、鳥取大学では、これまで授業料減免の対象だった学部生615名のうち206名、院生176名、外国人留学生52名が、支援対象外となり、学び続けることが困難になることが予想される。従来の授業料減免制度継続のための財政措置をとるよう、国、鳥取大学に求める事。県独自の支援制度がとれないか検討すること。


3 私立高校の授業料無償化
 来年度から私立高校授業料の無償化(年収590万未満の人)が始まるが、対象から外れる学生に対し県として支援すること。また私学の場合、授業料以外に施設整備費などの負担も重い。県の施設整備費支援は、その費用が月額1万円を超えないと支援対象にならないが、実質無料になるよう支援をすること。


4 県独自の給付制奨学金制度の創設
 鳥取県の大学等進学率43.3%は前年より下がり、全国(54.7%)との差は広がるばかりである。その原因を明らかにすること。県内には大学が少なく、県外進学となるとお金の負担が重いことが原因と考えられる。鳥取県独自の給付制奨学金制度を創設すること。また未来人材育成基金での奨学金返済補助の対象を拡大すること。

【教員の働き方の改善】
1教員の変形労働時間制導入について
 安倍政権が、「1年単位の変形労働時間制」導入法案を臨時国会に提出している。平日の「繁忙期」に最大10時間までの勤務時間を容認し、閑散期に勤務時間を少なくし、一日平均8時間にするというものであるが、平日の長時間労働を容認し、体を壊す教員を増やすことになる。また閑散期とされている夏休みも、現状は研修や業務があり、休むことができない。「変形労働時間制」導入に反対し、県は導入のための条例設定はしないこと。


2 教員の時間外勤務と教員増について
 県教委は、文科省の公立学校教員勤務時間上限ガイドラインと同様に、教員の勤務外業務の上限を、月45時間、年360時間とし、特別な事情がある場合は、月100時間、年720時間を上限とし、45時間を超える月は年6か月以内にする方針案を示した。特別な事情とは言え、100時間勤務は過労死ラインであり、方針からは削除すること。また、どのように勤務外業務の時間上限を守らせるのか手立てを明らかにすること。本来は、時間管理とともに、残業代を支給することが、残業規制の手立てとなるはずであるが、それがない。公立教員給与には4%の増額調整があるとされているが、制度ができた当時は平均残業時間は週1時間14分であるが、現在はその10倍の残業実態であり、残業に見合ったものになっていない。同じ県の公務員であり、知事部局同様に、県独自に残業代を出すようにすること。また「変形労働制」と残業時間上限がセットになると一日の勤務時間は超長時間労働となるため、セット導入はしないこと。また1週間の授業持ち時間が、標準法に見合ったもの(一日4時間、小学校週20時間、中学校週18時間)となるよう、教員定数を増やすこと。


3 中学校教員の授業時間数について
 中学校の教員で、標準授業時間数の週18時間を超えて授業をしている教員が県内51.8%(小中一貫校を除く)もある。これでは勤務時間内に授業の準備時間を確保することが困難である。受け持つ授業が標準時間となるようにすること。またそれに見合った教員増をはかること。


4 特別支援学級について
○県教委の報告では、中学校の特別支援学級の担任で、免許教科外の授業を行っているのは、1名となっているが、ティームティーチング(以下TT)の補助で免許教科外の授業を受け持っている場合があるが、カウントされていない。TTの補助であれば免許がなくてもよいとされているため、カウントしていないのかもしれないが、免許教科外の授業をどれだけの教員が受け持っているのかを正確に把握するためにも、きちんとカウントすべきである。
○特別支援学級の担任は、全担当授業時間数の半分以上の時間、担当している特別支援学級で授業を行わなければならないとされ、ティームティーチング(以下TT)で参加する時数は個別指導計画に位置付けられた場合には特別支援学級担任としての指導時数に含めてもよいとなっている。その結果、特別支援学級の担任は、TTで自分の免許教科外の授業を受け持ちながら、自分の免許教科の授業も受け持つこととなり、県内の標準時間数週18時間を超える中学校教員の内、特別支援学級の担任の占める割合は16.2%(小中一貫校を除く)と高くなっている。免許の有無にかかわらず、その授業を担当するためには授業準備も必要となるが、多くの授業をもっていては時間内での準備もままならない状態である。特別支援学級の担任が、ゆとりをもって、特別支援学級の生徒の教育に当たれるようにすること。

【国民健康保険制度】
1 国保料について
 政府は来年度の国保料を、介護保険料と併せて96万から最大4万円の引き上げ(1000万円以上の加入者中心に、中所得層の保険料の伸びを抑制する)を提案している。その上、本来保険料軽減に使える前期高齢者交付金精算金を基金に積みますよう求めたり、一般会計繰り入れ解消計画の策定が進まない自治体に対し保険者努力支援金の減額、保険料上昇の激変緩和の財源である県特別調整交付金の減額など、保険料が上がるしくみがいくつも提案されている。一方で、全国知事会が求めた1兆円の公費負担は3400億円にとどまったままである。国に対し保険料があがるような仕組みの導入は中止するよう求めること。保険料が軽減できるよう国の抜本的な財政支援強化を求めること。また保険料があがらないよう県独自の財政措置をとること。特別医療費助成に対する国減額措置の半分は県が負担すること。


2 国保料滞納に対する差し押さえ
 国保料滞納に対する差し押さえが、県内961世帯に対し行われている。鳥取県では、預金化された差し押さえ禁止財産の児童手当を差し押さえ、裁判で県が敗訴した。こうした事例が各地でおきており、県内での国保料滞納に対する差し押さえがどのようにおこなわれているのか、調査し、違法な差し押さえは、「県滞納マニュアル」にそって改善をはかるよう市町村に求めること。


3 短期保険証・資格証明書の発行について
 国保料滞納のペナルティとして、短期保険証や資格証明書が発行されているが、「特別な事情」がある場合は、発行しなくてもよい。横浜市では、特別な事業が確認できない場合は、正規の保険証を発行するようにしている。医療保険証は、命に直結するものであり、安心して病院にかかれるよう、横浜市のように正規保険証を発行するようにすること。また市町村において、「特別な事情」が確認されているのかどうか、調査すること。

【保育制度について】
1保育料無償化について
 これまで県は、国より早く独自に、第3子、第2子(所得制限あり)、中山間地域の保育料無償化制度に取り組んできた。国がこの度3歳以上児について無償化に踏み出したことで、来年度からは、県の無償化にあててきた経費が浮くことが予想される。0~2歳児の無償化や給食食材費支援など、この度無償化の対象外となったところを支援すること。また、9月議会で、10月からの国無償化実施で、従来より負担が増える人はないとの答弁をしているが、実際には負担が増えた保護者もある。県として実態調査を行い、公表すること。


2認可外保育施設への保育料無償化支援について
 国は5年後に指導監督基準を満たすこと条件に、認可外保育施設も無償化の対象にしているが、それは、5年間は指導監督基準を満たさなくてもよいということである。県内で公表されている認可外保育施設の平成30年度の行政指導監査では、「本来複数人員配置すべきところを保育士1人で4人を保育している。まるたんぼうハウスが土砂災害区域内にあるにも関わらず避難計画がない」(智頭町森のようちえん・まるたんぼう)、「早朝の児童受け入れで有資格者が不在の時間帯があった」(ズー・フォニックス・アカデミー米子)、「トイレの手が届く位置に漂白剤が置いてあった。保育室に小さなおもちゃが多数あり、誤飲防止の安全管理体制の検討が必要」(南クローバー保育園)など、安全や保育の質確保が懸念される実態がある。保育料無償化は保護者にとっては負担軽減となりよいことであるが、こうした指導監督基準を満たしていない保育施設も無償化の対象にして、行政がお墨付きをあたえ、子どもの入園を促進することは、危険である。指導監督基準を満たすことを無償化や保育料支援の条件とする県条例を作成すること。


3保育士処遇改善について
県は保育士不足から、保育士資格のない人の配置を5年間延長した。県が取り組んだ保育士実態調査でも、7割の保育士が仕事のわりに給料が安いとしており、県独自に保育士の給料補填や4・5歳児の保育士配置基準改善など、保育士の処遇改善に取り組むこと。また国にも処遇改善(保育所公定価格の引き上げ)を要望すること。

【原発問題】
1 データ入力値ミスについて
 島根原発2号機の新規制基準の審査の重大事故対策の有効性評価において、解析条件に設定ミスがあることに中国電力が気づいた。その後、原子力規制庁から中国電力に対し、同様のミスがないか調査するよう指示があり、調べたところ、2号機のプルサーマル計画の既許可においても、同様にミスがあったことが明らかになった。ミスの原因は、数値入力が担当職員まかせになっており、解析条件を改めて確認していなかったとのことである。今回入力ミスが、危険なプルサーマル計画において発見されたことは重大であり、同様のミスを再稼働にむけた審査の中でも繰り返していることは、危険な原発を扱う会社として、緊張感に欠けており、中国電力がデータ改ざんやミスを繰り返していることからすれば、強く抗議をすべきである。


2 関西電力での原発マネー還流問題への対応
 関西電力美浜原発に関連して、美浜町元助役が、関電幹部に金品を渡し、更に元助役が関連工事受注企業から手数料として約3億円を受け取っていたという原発マネー還流疑惑が浮上し、真相が明らかにならないままとなっている。原資は、電源立地地域対策交付金や、原子力安全対策の予算であり、こうした公金が、企業や自治体職員に不正に回っていたことは大問題であり、原発行政への不信感を広げるものである。原発再稼働を推進している政府として、真相解明をするよう求めること。また鳥取県内では、日本原子力研究開発機構の人形峠環境技術センターに係る、電源立地地域対策交付金を活用して、三朝町では、平成21年度から30年度までに14事業で、交付金が5億2018万9千円が活用されている。また、島根原発関連の安全対策等に、平成30年度では2億6千万余が使われており、関西電力・美浜町同様のことがないか、調査をすること。

【美保基地】
1新型空中給油機配備について
 来年末には、美保基地に新型空中給油機KC46Aが初めて配備される予定であり、今年度中
に配備について県との協議が行われる予定である。KC46Aは、従来配備されてきたC2輸送機とは違い、輸送機能だけでなく給油機能をもち、しかも米軍機への給油も否定されておらず、安保関連法における、他国の武力攻撃に参加する危険性がある。つまり、自国防衛という自衛隊や自衛隊基地の性格を変えるものであり、配備に反対すること。


2美保基地部品落下事案について
 平成31年度上半期の航空機部品落下について、C2輸送機のネジ、燃料補給パネル内整備灯
のピンの落下が報告されている。再発防止を繰り返し呼びかけながら、C2輸送機の部品落下事故が収まらないのは、重大な問題である。改めて抗議し、C2輸送機を総点検し、再発防止策がとられるまで、飛行・訓練を中止すること。

【精神障害者医療制度】
1 精神保健手帳2級まで特別医療費助成の拡大を
 特別医療費助成の対象を精神保健手帳2級まで拡大すること。精神は他の障害に比べ、医療費助成受給対象者が極端に少なく、手帳保持者に占める助成対象は、身体は手帳1・2級で47%、知的は療育手帳AとBの一部で33%以上、精神は1級のみでわずか13%であり、精神障害者に対する格差・差別解消が必要である。奈良県では、精神障害者の生活実態調査を行い、他の障害に比べ、一日8時間働くことが困難で、3障がいの中で一番所得が低いのに、医療費がたくさんかかることが分かり、精神2級まで医療費助成を拡大している。県内当事者ご家族に聞くと、精神の薬は大変きつく、副作用で、唾液がでなくて虫歯になりやすい。心臓に負担がかかり、高血圧や糖尿病になりやすい。でもお金がなくて、我慢し、病気で死亡する例が多いとのことであった。


2 精神障害者生活実態調査について
 奈良県のような精神障害者生活実態調査も行うこと。奈良県の実態調査は、精神保健手帳保持者に郵送アンケートをしてますが、鳥取県は精神に特化した調査はしておらず、他の障害は郵送アンケートなのに、精神だけは病院窓口のアンケートで、回答率は他の障害の半分であり、奈良県のような調査が必要である。

【淀江産廃処分場計画】
1 淀江産廃計画の白紙撤回を
住民合意もなく、水源地付近での淀江産廃処分場計画は、白紙撤回すること。


2 データの公表を
 9月補正予算の測量・設計について、10月末から11月頭に業者との業務契約が行われる予定である。その契約内容や、調査・設計内容について、来年夏の環境管理事業センターが認可申請手続きをするまでにも、随時、広く県民や県・米子市議会にデータを公表し説明をするようセンターに求めること。


3 環境保全協定協議について
 環境保全協定協議は、協議内容を公表し、広く住民や議会に説明すること。また、意見調整会議では、水利権者への連絡が不徹底であった上に、環境保全協定協議では、水利権者に対し、関係自治会同様に真摯に対応するといっていたが、協議の対象となっていない。水利権者に対する説明をきちんと行うよう、センターに求めること。


4 地下水調査について
 新たに行うとされている地下水調査は、米子市水道局顧問の吉谷先生の知見を活かすこと。

【企業立地補助金】
1 ジャパンディスプレイ
 ジャパンディスプレイは企業立地補助金を受け取っており、2027年3月末まで、条例上の事業継続努力義務がある。ジャパンディスプレイが経営困難となり、希望退職を募ったところ、予定の100名を超えて、103名が希望したとのことである。ジャパンディスプレイの再就職支援は年内のみであり、その後の再就職支援も、県とジャパンディスプレイが責任をもって行うこと。また今後の経営状況によっては、約500名の離職が起きる危険性があり、県は情報収集と雇用継続の働きかけを、引き続き行うこと。


2 ひよこカンパニー
 ひよこカンパニーは、求人広告と違う雇用契約を労働者に強いており、またすでに働いている
労働者に対しても、労働契約書の書き換えを要求し、何人もの労働者が離職している。労働契約
は、あくまで個人と企業との契約ではあるが、求人広告と違う労働契約を、立場が弱い労働者に
迫ることは、企業としてのモラルが問われる。企業立地補助金を受け取っている企業であり、県と
しても、調査、指導をすること。

 

9月県議会

★9月議会にあたっての予算要望

鳥取県知事 平井伸治 様
                            2019年8月20日
                            日本共産党鳥取県議会議員   市谷知子

 2019年9月議会予算要望

9月議会は、参議院選挙後はじめての議会となります。参議院選挙の結果は、3年前の参議院選挙で得ていた自民・公明・維新などの改憲勢力は3分の2を割り込み、自民党は改選比で9議席を減らし、参議院での単独過半数を大きく割り込みました。そして選挙後の世論調査でも、安倍政権がすすめている憲法改定や消費税増税に否定的な意見が多くなっています。こうして全体の流れを見ると、議席で多数を得たとはいえ、安倍政権とその政策への支持離れが広がっていることがわかります。同時に、統一地方選挙に続き、参議院選挙も低投票率となり、多くの国民・県民が、今の政治や暮らしへの不満や怒りを抱えつつも、どうしたらそれを変えることができるのかと、くらしや政治への希望や展望を模索していることもわかります。
 だからこそ、安倍政権が進めている消費税増税、基地強化、日米FTA、年金をはじめとする社会保障改悪など、参議院選挙でも争点となり、国民が解決を願っている問題について、鳥取県においても、積極的に国に対して改善を求めること。また県政においても、それらの問題に対し県民の負担軽減を行うなどの県民の願いにそった対応をすること。産廃処分場問題では地域住民の願いを知事がきちんと聞くことなど、県民に寄り添った県政運営を行うことが、県民の暮らしの希望につながります。
  積極的に対応していただくよう希望し、以下要望します。

【消費税増税問題】
〇景気回復もしておらず、米中貿易摩擦で国内・県内の経済状態も不安定である。また、事業者からは、いくら支援があっても経費と負担がかかる複数税率の対応は難しいとの声も上がっている。10月からの消費税増税は直ちに中止するよう求めること。
〇消費税対策として導入予定の「プレミアムポイント付与事業」は、マイナンバーカードを取得しなければ購入できないなど、普及が進まないマイナンバーカードを押し付ける邪道なやり方である。制度導入の中止を求めること。

【淀江産廃処分場計画問題】
〇条例手続きの際に、関係住民が求めた技術的検討、特に地下水の流れる方向の検討が、十分に行われていない。知事は、「本当に施設が安全なのか、地下水の問題があるのであれば、専門的な知見も入れ、安全に関わるのであれば、体を張って抵抗して止める」と答弁しているが、それなら、条例手続きの時に、検討すべきであった。また米子市全員協議会で、環境管理事業センター理事長が、「センターの説明は不十分だった」と認めており、条例手続き終了の要件を満たしていない。条例手続きに差し戻すべきである。
〇知事は「地下水の専門的な知見も入れる」というのが、それが廃棄物審議会であるならば、意見調整会議の段階と同じ結論になってしまい、意味がない。法手続きに入る前に、住民が求めている地下水の専門家の吉谷先生を招致して、意見を聞き、地下水の流れる方向について、再検討・再確認すること。
〇知事が米子市に対し、土地提供の協議に応じるよう依頼したのは、自らが言う行司役からは逸脱した行為である。更に、知事と環境管理事業センターからの依頼を受けて、米子市議会では土地提供について協議がなされたが、その場で初めて、環境管理事業センターが、事前に米子市長にも相談せずに、「9月県議会に測量予算を計上するため、それまでに返答を」と、期限を示した。米子市長は「スケジュール感はない」としている。9月議会までなどという期限をきることがないよう、環境管理事業センターを指導すること。またこのセンターの発言を既成事実化しないためにも、測量費を9月議会に予算計上しないこと。
〇県はこれまで、米子市と環境プラントとの開発協定が必要との立場を示してきたが、米子市議会では不要論が飛び出してきた。従来、県が、また米子市が、開発協定改定が必要としてきた根拠を示すこと。

【空中給油機配備問題】
1 美保基地への空中給油機配備について、6月議会最終日に防衛局から説明を受けた。その際、防衛局は、訓練の空域も日時も教えない、想定される訓練時間は午後10時までと回答し、大変危険な状況が明らかになった。また米軍への給油も否定しておらず、それは安保法制上できることで憲法の範囲内だと答弁しているが、安保法制は弁護士会からも憲法違反との意見が出ているものである。危険で、憲法違反の行為を犯しかねない空中給油機の配備は認めないこと。
②防衛局は、「空中給油機配備は基地の性格を変えるものではない」と説明しているが、知事は空中給油機配備によって、「基地の役割に変更はある」としながら、「基地の性格は変更を生じさせないこと」を配備の条件としている。この基地の「役割」と「性格」との違いがよくわからない。また何をもって基地の性格が変更したものとするのか、知事が基準をもっていなければ、防衛局いいなりとなってしまいかねない。「基地の性格変更」とは、どういう状態をさしているのかを明らかにすること。

【農業と貿易交渉】
〇コメ戸別所得補償制度復活
日本の食料自給率が38%から37%へと更に下がったと発表されている。異常気象が原因とのことのようであるが、温暖化の影響で世界的にも異常気象が続いている。だからこそ、食料は簡単に外国から買えるという発想を払拭し、国内での生産をしっかり進めていくことが大切である。現状では、コメ作りの担い手は減少するばかりであり、収入保険制度は、すべての農家が対象ではなく、保険料や積立金も払わなければならないのに、100%補償ではないため、加入しにくい。主食用米の個別所得補償制度を復活させること。
〇日米貿易交渉=日米FTA
トランプ大統領が8月にも交渉内容をオープンにするかのように語り、知事も情報開示を求めていたが、いまだに明らかになっていない。直ちに情報開示するよう求めること。またTPP以上にはしないという約束を違反するようなことがあれば、直ちに交渉の中止を求めること。
〇TPP11・日欧EPA
農産物の低関税・無関税での輸入を認めるものであり、牛肉と豚肉の輸入が急増しているとも報道され、国内・県内農業への被害が広がることが懸念される。協定の交渉項目や経過を全面的に明らかにさせ、徹底した検証の上に、協定内容の見直し、TPP11からの離脱、日欧EPAの協定に基づく終了通告による終了を検討するよう求めること。TPP11は、アメリカが復活することを見込んで、輸入枠を残したままにしているため、オーストラリアなど他の輸出大国で枠が満たされ、日米FTAとのダブルパンチになりかねない。アメリカの不参加が明らかになった今、輸入枠の縮小は最低限のエチケットであると主張すべきである。

【経済格差是正と教育機会の平等を保障するために】
〇子どもの貧困と格差の拡大は、子どもたちから教育機会の平等を奪い、格差の連鎖を生んでいる。学費減免や給付奨学金の拡大と同時に、その財源の一つとして、相続税・贈与税の最高税率を2003年の70%まで引き上げ、富裕層の資産に対して、累進的な税率とする「富裕税」の創設を求めること。

【教育】
〇学校の体育館へのエアコン設置を支援すること。
〇私立高校の授業料
消費税増税で、私立高校授業料を実質無償化(年収590万未満の人)するというが、子育て世代ほど重い負担になる消費税増税を財源にしないよう求めること。同時に私立高校の授業料無償化は必要であり、国の無償化支援から外れる学生を県として支援をすること。また、私学の場合、授業料以外に施設整備費などの負担も重い。県の施設整備費支援は、その費用が月額1万円を超えないと支援対象にならないが、実質無料になるよう支援をすること。
〇鳥取県の大学等進学率43.3%は前年より下がり、全国(54.7%)との差は広がるばかりである。その原因を明らかにすること。県内には大学が少なく、県外進学となるとお金の負担が重いことが原因と考えられる。鳥取県独自の給付制奨学金制度を創設すること。
〇中学校教員の授業時間数
中学校の教員で標準授業時間数週18時間を超えて、授業をしている教員が県内51.8%(小中一貫校を除く)もある。これでは勤務時間内に授業の準備時間を確保することが困難である。受け持つ授業が標準時間となるようにすること。またそれに見合った教員増をはかること。
〇特別支援学級について
①県教委の報告では、中学校の特別支援学級の担任で、免許教科外の授業を行っているのは、1名となっているが、ティームティーチング(以下TT)の補助で免許教科外の授業を受け持っている場合があるが、カウントされていない。TTの補助であれば免許がなくてもよいとされているため、カウントしていないのかもしれないが、免許教科外の授業をどれだけの教員が受け持っているのかを正確に把握するためにも、きちんとカウントすべきである。
②特別支援学級の担任は、全担当授業時間数の半分以上の時間、担当している特別支援学級で授業を行わなければならないとされ、ティームティーチング(以下TT)で参加する時数は個別指導計画に位置付けられた場合には特別支援学級担任としての指導時数に含めてもよいとなっている。その結果、特別支援学級の担任は、TTで自分の免許教科外の授業を受け持ちながら、自分の免許教科の授業も受け持つこととなり、県内の標準時間数週18時間を超える中学校教員の内、特別支援学級の担任の占める割合は16.2%(小中一貫校を除く)と高くなっている。免許の有無にかかわらず、その授業を担当するためには授業準備も必要となるが、多くの授業をもっていては時間内での準備もままならない状態である。特別支援学級の担任が、ゆとりをもって、特別支援学級の生徒の教育に当たれるようにすること。

【保育士確保】
〇保育士無資格者の配置を5年延長する計画であるが、無資格者が増えるばかりで、保育士不足の解消につながっていない。無資格者配置の延長は中止し、保育士の賃金支援や、4・5歳児の保育士配置基準の改善など、保育士の処遇改善を行うこと。

【生活保護】
〇生活保護の制度改正で、進学準備支給金へのマイナンバー連携開始、生命保険会社照会様式の統一化、厚労省の調査項目の追加、「健康管理支援事業」を必須事業とすることなどが予定されている。これらは、行政側による生活保護世帯への管理強化であり、生存権を保障するという観点での提案ではない。管理強化ではなく、安心して利用できる生活保護制度となるようにすること。
〇猛暑が続き、8月の熱中症搬送車は昨年よりも多くなっている。生活保護世帯や低所得世帯へのエアコン設置費用を助成すること。

【年金・医療】
〇年金制度
マクロ経済スライドの中止を求め、せめて減らない年金制度とすること。国が提案している月5000円の年金の底上げは、対象が加入期間40年で年金月額6.5万円の人だけで、加入期間10年で月1.6万円の人は月1250円だけの支給である。すべての低年金者に月5000円を支給するよう求めること。
〇後期高齢者医療制度
マクロ経済スライドの実施で年金削減が進む中、収入を増やすことが難しい75歳以上の後期高齢者医療の保険料特例軽減廃止や窓口負担2割化に反対すること。また保険料軽減廃止で、高齢者全体の負担増がいくらになるか調査し、公表すること。
〇医師確保計画・外来医療に関する計画
「医師確保計画」が作成されようとしているが、「医師の偏在是正」が目的となり、絶対的医師不足の解消が必要との観点が抜け落ちている。国が示す医師偏在指数を用いて計算された目標医師数は1303人となり、現在の医師数1699人を大きく割り込むことになる。医師数下位の地域を引き上げるのであって、医師多数地域の医師数を減らすものではないというが、国が医師多数地域と規定した鳥取県や鳥取県西部医療圏であっても、絶対的に医師の数は不足している。同様の計画づくりが産科医、小児科医、外来医療についても求められているが、医師不足は同じである。現場で必要とされている医師数確保の計画を組み、国に対しては医学部定員の増員など必要な予算措置を求めること。

〇国民健康保険
1 保険料の統一が検討されているが、医療費水準を抑えてきた市町村に不利になるとして、話が前に進んでいないのは、当然である。保険料は統一ではなく、そもそも国保加入者は低所得者が多いのであるから、いかに県が支援して保険料を安くできるかを検討すること。
②短期保険証の発行基準も統一を目指し、当面の標準的な交付基準として、「前年度分以前の滞納があること。有効期限は滞納状況や分納誓約の状況により判定」とされた。そもそも滞納があるからと期間の短い保険証を出すというペナルティは、いざ病院にかかるときに保険証がきれていて、医療費負担が重くなったり、病院にいけなくなったりして、命に直結する問題を生むことになる。短期保険証の発行基準の統一ではなく、むしろ正規保険証を発行するようにすること。また、現状でも、滞納があっても短期保険証ではなく正規保険証を発行している例(「修学のため他自治体に住所を移すとき」(鳥取市)、「特別医療受給対象者」(若桜町)、「18歳以下」(倉吉市、琴浦町))もあり、これらを普及すること。
③資格証明書についても統一した交付基準が検討されているが、資格証明書は、かかった医療費をいったん全額負担しなければならず、保険料が払えないのに、どうしてその医療費が払えるだろうか。資格証明書は発行すべきではない。また、現状でも、滞納があっても資格証明書を発行していない例(「原爆一般疾病医療費支給等を受けることができる場合」(鳥取市、大山町、南部町)、「老人保健法の規定による医療等を受けることができる者」(日吉津村)、「定期的な状態にあり、保険証がないと治療中断の恐れがあるとき(日南町)があり、むしろこれらを普及すべきである。

【高齢者バス支援】
〇鳥取市が市社協に委託する形で、無料で高齢者介護予防支援バスやボランティアバスが運行
されている。秋などのシーズンになると、利用希望者が多く、毎日行われる抽選を、何日も待ちわびる状況は、高齢者にとって負担であり、バスの台数を増やす必要がある。バスの維持管理や不足する運転手を確保するためには、今以上の経費が必要となるため、事業をとりやめた市町村もある。県として財政支援をすること。

【県営住宅保証人規定について】
〇県営住宅入居対象者は、低所得の生活困窮者が圧倒的で、保証人が得られにくい。「保証人が
やるべき補償は6か月分までと期限をきるから保証人が得やすくなる」とか、「保証人が得られ
なければ、2年間で1万から2万円の保険料を払えば保証会社が保証してくれる」、「生活保護世帯には保険料が扶助費で支給される」と県はいうが、低所得者が保険料を払うのは大変なことであり、保証会社は、家賃を立替えるだけで、その間は、県の接触がなくなり、県の家賃滞納・生活相談は行われなくなってしまう。県条例から保証人を要するとの規定を削除すること。最低
でも生活保護世帯は保証人を不要とすること。せめて保証会社が家賃を立替えている最中は、県が従来通りの滞納・生活相談をすること。

【上下水道広域化・民営化問題】
〇現在、県・市町村担当者レベルで、広域化の具体例が出されて議論されているようであるが、どのようなやり方を検討しているのか、さっぱり伝わってこない。報告も県議会にとどまっている。こうした住民無視のやり方で広域化・民営化することは、許されない。最低でも、直接、住民や市町村議会にも検討状況を報告し、住民の意見を聞くようにすること。

【雇用・働き方・賃金】
〇会計年度任用職員制度
9月にも条例が提案される予定であるが、従来の一般事務の非常勤職員の処遇のルールより悪くならないようにすること。また新制度導入を契機に、非正規切りや退職に追い込むことがないようにすること。フルタイムで会計年度任用職員というのでは、「使い捨て」同様の扱いであり、そうした職種は正規職員化すること。
〇最低賃金
10月からの鳥取県の最低賃金は、中央審議会の目安を超えて790円となったが、最低ランクであり、全国平均の901円よりも低く、1013円の東京都との格差は更に広がった。仕送りゼロで、アルバイトで生活費を稼ぐ県内大学生も少なくなく、最低賃金の低さは学生生活にも影響している。くらせる賃金とし、都市部への人口流出を防ぐためにも、全国一律1000円以上となるよう、また中小企業の賃上げ補助を抜本的に増額するよう、国に求めること。県としても中小企業への社会保険料や賃金への支援を行うこと。
【企業立地】
〇ジャパンディスプレイ、グリコなどで事業や雇用の縮小が検討されているが、雇用維持を働きかけること。雇用維持がなされないのであれば、補助金返還を求めること。
〇大江ノ郷の宿泊施設整備に、企業立地事業補助金が交付される予定であるが、大江の郷ココガーデンの職員を充てていると聞いている。それでは雇用増につながらず、職員の疲労等から衛生管理も心配される。実態をよく聞き、改善をはかること。

【西部総合事務所新棟整備について】
①PFI方式を導入し、VMFが約1.5億も出るとのことであるが、その根拠となっている割引率2.5%の根拠が明らかではない。実際にそれだけのVFMが出なかった場合、つまり経営が破綻した場合どうするのか。またPFI方式は、地元企業の参入も難しく、利潤追求で人件費などが削減され、県民の労働が安く買いたたかれる危険性があるため、導入すべきではない。
②また新築整備に合わせて、県税事務所を米子市庁舎に移し、税務情報を共有・連携強化するとしているが、違う役所同士が情報共有するのはプライバシーの侵害である。また取り立て強化につながり、県民にとってメリットがあるとは言い難い。県税事務所は従来通り、西部総合事務所に配置すること。

【大規模風力発電計画】
〇県内で計画されている大規模風力発電計画は、環境アセスの準備が進んでいる。しかし、住民から反対意見も出ており、国のルール化を待つだけでなく、県として、住民意見を反映できるしくみを早急につくり、住民の反対意見があるのに、設置されたなどという事がないようにすること。

【河川維持管理費について】
〇単県の河川維持管理費が2億円から5000万円に大幅減額となり、「河川付近の草が刈ってない。その横の道路の視界がわるくなり危険である」と苦情が出ている。県土整備事務所の職員が順番に草刈りに出ているが、それでは追いつかない。早急に補正予算をつけて、早急に対応すること。

 

6月県議会

★市谷ともこ ―県議会だより―


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市谷とも子 県議会だより2019年8・9月合
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