鳥取環境大学がまちづくりシンポ  長寿命建築で持続可能な社会を

2013年3月17日付 鳥取民報

 

 鳥取環境大学は2月24日、鳥取市でまちづくりシンポジウムを開き、長寿命建築で持続可能な社会づくりをと提唱しました。
 同大学の木俣信行特任教授が、地球温暖化に対する持続可能な社会の構築について報告。首都大学東京の青木茂特任教授がリファイニング建築・シティをテーマに基調講演した後、吉田幹男氏(地域デザイン研究所)のコーディネートで野田邦弘鳥取大学教授、寺谷誠一郎智頭町長、渡辺博県商店街振興組合連合会理事長がパネルディスカッションしました。
 木俣氏は、温暖化の影響で暴風雨災害の多発、海面上昇などで2055年には世界のGDPを自然災害による損害額が急カーブで超えると警告。住宅建て替え周期(住宅寿命)について、英国の141年、米国の103年、大戦の影響で短い仏国の85年、独国の79年に対して日本は30年と極端に短く、GDP比で欧米の2倍の2割を建設(新築が9割)に使っていると指摘し、建物を耐震補強して再生するリファイニングの必要性を訴えました。
 青木氏は、リファイニング=柱(壁)、梁、床を残して解体し、耐震化・再生する=の具体例を紹介し、新築と同等の耐久性、耐震性を確保し、新築のコストの6~8割でできると報告しました。
 コンクリートが中性化すると内部の鉄筋に影響するが、薬剤処理して炭素繊維を巻き、鉄骨柱で補強するなどの措置をとって強度を確保した実績などを紹介しました。
 寺谷町長は、住民のいなくなった集落を日本の原風景として蘇らせたこと、古民家の活用や森林の活用(幼稚園、保養)で町を活性化していることを紹介。さらに「日本には本物の政治家がいない。日本のトップは、原発事故で、なぜ真っ先に子どもたちを母親とともに安全な地域へ逃がさなかったのか。被災3県に、国の責任で1000億円ずつ自由に使える金を渡さなかったのか」と批判しました。