2013年3月10日付 鳥取民報
鳥取県は2月20日、障害者雇用について講演会を開き、日本理化学工業の大山泰弘会長が講演しました。
同社の74人の従業員のうち重度26人を含む55人が知的障害者です。大山氏は、障害者に対して最低賃金以上の賃金を支払っているが、採算も取れて工場建設時に借りた借金も返済したとのべました。
1959年に養護学校の先生に「知的障害者の子は、施設に入れられて働くことを知らずに一生を終ってしまう」という話を聞き、実習を引き受けたのをきっかけに、知的障害者を雇うようになったと話しました。
禅宗の住職に、人の幸せは①愛されること②ほめられること③人の役に立つこと④人に必要とされることだと諭され、障害者の能力に合わせて安心して働けるように作業工程を見直して、効率よくチョークが生産できるようになったと報告。
「字(数字)も読めない、計算もできない子でも、一人で電車に乗って信号を渡ってくることができる」。そこで、色を使って材料の計量(一方に青い箱から取ってきた材料を青い空き缶に入れて置き、もう一方に青い重りを置きバランスさせる)を考えました。
チョークの直径は11ミリ+-0・5ミリで不良品の選別は、入口が11・5ミリ、出口が10・5ミリの金型を利用して、スッポリ入って下に落ちないモノが合格です。
材料を練る時間は砂時計で測ります。
1人のマネージャー(健常者)に13人の障害者がついて仕事をおこない、班長(障害者)がマネージャーを補佐します。そのため、人件費がかかりません。
大山氏は、見学した小学5年生の男の子から「天の神様はどんな人にも、人の役に立つ才能を与えてくださっているんですね」という手紙をもらったこと、「人は一人では生きていけないため、人の役に立ったときに幸せを感じる共感脳をもっている」という話や、見学したハンガリーの女性から「日本には職人文化があるから、字が読めなくても仕事ができるようになるのですね」と言われたことなど紹介しました。
大山氏は、働くことは幸福追求権、生存権とともに憲法に保障された権利であり、皆働社会(誰でも働けて人の役に立てて幸せを感じられる社会)を実現するために、「政府がすべての障害者に最低賃金を払って中小企業で働けるようにすべきだ」と訴えました。
施設で1人の障害者に2億円かける金があれば十分できると語りました。