鳥取県は12日、税の滞納に充てるための預金化された児童手当の差し押さえは違法との鳥取地裁判決を不服とし、広島高裁松江支部に控訴しました。
同裁判は、鳥取市の自営業の男性(40)が県を相手に起こした訴訟で、鳥取地裁は3月29日、原告側一部勝訴の判決(県に児童手当13万円と預金73円の返還、慰謝料など25万円の支払いを命じる)を出しています。
県の末永洋之総務部長は、控訴理由として①判決は本件預金債権が〝差し押さえ禁止財産に該当しない〟としながら、違法と判断しており、最高裁判例(預金となった時点で差し押さえ禁止財産の属性を承継しない)を踏襲したものとなっていない。全国の税務行政、民間取り引きは、最高裁判例に基づき業務を遂行しているが、原判決によれば業務に法的安定性を欠き、多大な影響が生じかねない②判決には事実誤認があり、事実認定についても審議を尽くし、上級審の判断を仰ぐ―の2点を上げました。
末永総務部長は「児童手当の差し押さえを意図したことはなく(たまたま、振り込みの時期と重なっただけ)、取り引き履歴は見ておらず、原告の男性は必ずしも困窮していなかった」と事実認定に誤認があると主張しました。
県の控訴を聞いた原告男性は「強い憤りを感じる。生活実態は地裁が客観的に判断した通り。全国の徴税に苦しむ人たちのためにも受けて立ち、たたかいたい」と話しました。