鳥取県が預金化された児童手当を差し押さえたのは違法との鳥取地裁判決を不服として県が控訴した控訴審の第1回口頭弁論が9月18日、広島高裁松江支部(塚本伊平裁判長)であり、即日結審しました。
県は、鳥取市内の自営業の男性(41)が滞納していた県税21万8800円を徴収するために2008年6月11日、児童手当13万円が振り込まれた直後の男性の預金口座13万73円を差し押さえました。
鳥取地裁は今年3月29日、男性が県を相手に起こした訴訟の判決で、児童手当を含む13万73円の返還と慰謝料25万円の支払いを命じました。
県は、一審判決は最高裁判例(差し押さえ禁止債権も預金化すれば差し押さえ可能)を踏襲しておらず、事実誤認(判決は児童手当を狙い撃ちと認定したが、児童手当とは知らなかった)だとして控訴しました。
意見陳述した高橋真一弁護士は、「県は1年前の調査と当日の調査で児童手当が振り込まれることを知り得た。県の『預金残高は確認したが、折って見せられたために取り引き履歴(児童手当の振り込み)は見なかった』は、1枚の紙にプリントされており通用しない。男性が差し押さえのあった当日に児童手当だと主張して返還を求めたが、県は『事前に預金調査はして動きは把握している』とのべ、返還に応じなかった」と陳述しました。
鳥取、島根両県の民商会員ら約40人が傍聴し、裁判が終わると全国から寄せられた「児童手当の趣旨を守る判決を求める」5653人分の署名を裁判所に提出しました。
塚本裁判長は、事実関係は1審で出ているとして、次回の11月27日に判決を出すとのべました。