【4月20日付】「障がい福祉の父」生誕100年記念  障がい児大切にする社会は人も

  「障がい福祉の父」糸賀一雄生誕100周年記念フォーラムが12日、鳥取市で開かれました。
 元びわこ学園園長の高谷清氏が記念講演し、神戸大学大学院の渡部昭男教授、鳥取短期大学の国本真吾准教授、平井伸治知事を交えてパネルディスカッションしました。
 高谷氏は、滋賀県で県庁に入職した糸賀は戦災孤児や知的障害児のための「近江学園」を創設し、「障害があっても人として発達し、人と心でつながることができる」と従来の障害に対する認識を変えたと評価。糸賀が「この子らを世の光に」と言ったのは、「障害児を大切にする社会は人間が大切にされる社会であり、切り捨てる社会は人間を排除する社会」だとの思いが根底にあると指摘しました。
 糸賀の生き方を引き継ぎ、今後に生かすためには、いじめ、自死、ブラック産業など人間がモノ扱いされ、希望を失っている問題を解決し、社会的弱者、乳幼児、障害児者などが生きていくことに喜びを感じる世の中にすることが大事ではないかと提起しました。
 渡部氏は、糸賀は「偉人」ではなく「自ら行動を起こす。ないものは皆と協力して創る。発信し共感を集め、事業を展開する」教育福祉の実践者だったと強調しました。
 国本氏は、糸賀は「一人ひとりが幸せに生きられるようにすることをめざして、社会事業として取り組んだ。障害者の問題を制度の問題としてとらえるのではなく、〝ともに生きる〟ことを大切にした」とのべました。
 平井知事は、糸賀が当時の西尾愛治知事を説いて知的障害児入所施設の皆生学園(皆成学園)を創設させたことを紹介。「政治が、お金がないからと切ってしまわないことが必要。今年度予算で行き場を失った重度障害者が、病院の中でケアが受けられる仕組みを導入した。生きている子どものことを考えて実践することで、大分変ってくると思う」と話しました。