戦後間もなく国の農地増反政策により、国営干拓事業として干拓農地にされ、その後、工業団地として整備された米子市崎津団地。この干拓により、住民らに被害をもたらしている昆虫がいます。
地元の弓ヶ浜半島では、「干拓虫」と呼ばれ、イソヌカカとトクナガクロヌカカの2種類が確認されています。
彦名、夜見、河崎、安倍地区などの住民は長年、悩まされてきましたが、根本的な対策が見つからずに自己防御もままならない状態です。
米子市環境政策課の担当者によると、生態がよくわかっていません。幼虫が海岸近くの砂の中に生息し、5月から9月にかけて成虫が発生し、体長が1㍉程度と小さいため、網戸の隙間から入ってきます。群集して飛び、刺されると1~2週間、腫れとかゆみが引かず、病院の薬も効きづらく、市として防御のためにディートを成分に含む虫除けを勧めています。
川崎地区の小学校と中学校にそれぞれ娘を通わせている女性(38)は、「外で立ち話もできません。かまれると耳の後ろ、首、脇、あちこちが腫れ上がり、病院から薬をもらってもかゆみがひきません。プールは最悪で全身を刺されます。中学校はクーラーがありますが、小学校はクーラーがなく、窓を開けているため昼間もかまれます」と話しています。
地域では、住民らが市に対して「干拓虫」の被害調査、駆除と対策を求める署名に取り組み始めています。