鳥取大学のサイエンス・アカデミーが10日、鳥取市の県立図書館で開かれ、大学院工学研究科機械宇宙工学専攻の岩佐貴史准教授が「柔軟構造材料が創る未来の宇宙構造物」と題して講演しました。
岩佐氏は、宇宙構造物には、放送、気象、測位、地球観測、天文などの各種の人工衛星や宇宙ステーションがあり、ロケットで打ち上げられ秒速8㌔㍍に到達し、地球の周回軌道にあると説明しました。
宇宙構造物に要求される条件として、①打ち上げ時の衝撃に耐える強さ②軽量さ③大型化④ロケット先端部のフェアリング(高さ12㍍、直径4㍍)への収納―を上げました。
大型化について、ソーラー電力セイル(太陽光の力を帆に受けてすすむ)は、帆が大きいほど飛行速度が速くなり、宇宙アンテナは大きいほど精度が上がるので年々要求が高まっていると指摘。鳥取大学では、格子投影法による高精度な形状計測法の開発、数値シミュレーションの信頼性(宇宙空間での実際の形状との近似性)の向上について研究をすすめているとして、その一端を紹介しました。
縞模様の格子の画素(輝度)が光の量によって(光源からの距離によって)正弦波の周期(0~2π)に合わせて変化するガラス板等を用いて位置をずらして撮影し、等高線(同じ輝度を結ぶ)を割り出す格子投影法によって3次元解析をすることで、立体画像を再現する方法の研究を紹介しました。
柔軟構造は、金属メッシュで加賀の友禅染を参考に創られているとのべました。