鳥取環境大学は5月17日、鳥取市の県立図書館で公開講座を開き、千葉雄二教授が「地域産業の変容と雇用」と題して講演し、三洋電機の撤退の背景と地域経済・雇用の問題について語りました。
千葉氏は、鳥取市では雇用者3000人を超えた三洋電機・エプソンが閉鎖、日立金属が大幅縮小し、市内の300人を超える企業4社のうちの3社が撤退・縮小して地域の経済と雇用に大打撃を与えたと強調しました。
その背景に、低賃金と新市場をめざした生産拠点の海外移転をともなうグローバル化による先進国(欧米、日本)の一部の都市の繁栄とその他の都市・地方の没落があると指摘しました。
東京、ニューヨーク、ロンドンが代表するグローバルシティーには、グローバル企業へ高度に集積したサービスを提供する機能(グローバル経済システム)があり、そのシステムを管理する高所得者とサービスを提供する低賃金労働者(非正規・有期雇用)によって支えられていると分析しました。
地方都市は、製造業などの産業が空洞化し、付加価値の低いサービス分野の雇用が広がり、所得格差が生まれているとのべました。
地域での安定した生活を可能にする産業・雇用を創出するためには、グローバル化(自由貿易、TPP等)に対抗し、内発的産業、地域企業とそれを支える人材を育成する必要があると訴えました。