鳥取県は10月12日、アルコール健康障害対策基本法の成立を受け、フォーラムを開きました。アルコール専門医の猪野亜朗かすみがうらクリニック副院長が講演し、不適切な飲酒への早期介入で、健康被害と社会的損失の予防をと訴えました。
猪野氏は、アルコールと分解産物のアセトアルデヒドは発がん物質であり、DNAを損傷して発がんと神経細胞死・脳の委縮を引き起こすと警告。アルコール依存症の疑いの頻度は、一般住民3・3%(男性5・5%、女性1・5%)に対し、一般病院外来患者は14・1%(男性21・6%、女性10・1%)と高く、アルコールが健康被害をもたらしていると指摘しました。
不適切な飲酒による外傷、がん等疾患、うつ病、アルコール依存症、飲酒運転、触法行為、DV、児童虐待、家庭崩壊、能力低下、失職、生活苦、介護などの社会的損失は4兆円以上(労働生産性低下2兆円、生涯賃金の減1兆8千億円、治療費1兆円など)に上ると強調し、「酒税の3倍の損失」とのべました。
医療機関など社会全体で早期に発見し、不適切な飲酒に介入し、治療や自助グループにつなげることが重要だと語りました。