よりよい保育をもとめる鳥取県実行委員会は11月24日、鳥取市で「子ども・子育て支援新制度」について講演会を開きました。
若桜町の小林昌司町長が特別報告し、保育料無料化、高校生への月額7千円の通学費支給、若者住宅(家賃2万5千円)に子ども一人につき5千円の家賃補助などの子育て支援を紹介しました。
保育研究所の逆井直紀常任理事が新制度のしくみ、帝京大学の村山祐一教授が公定価格と認定こども園について講演しました。
逆井氏は、新制度は来年4月から実施の予定だが、消費税10%が先送りされたために、財源の目途が立っていないと断ったうえで、東京など待機児童が多い都会で、小規模保育などの認可手続きがすすんでいて、やめると混乱を招くとのべました。
保育制度の課題について①保育の場の確保(杉並区で1300人定員の認可保育所に対して3000人の申し込みなど、都市部での待機児童の解消。過疎地での統廃合など保育施設の存続、②保育条件の改善(戦後直後の最低基準で保育士の配置基準が4、5歳児30人に1人だが、ヨーロッパでは10人に1人程度、③保育料負担の軽減(世界一高い保育料。保育経費の4~6割だが、ヨーロッパは2割)、④保育者の処遇改善(専門性が問われ、感染症対策など保育が高度化する一方で、賃金が労働者平均の6~7割程度。深刻な保育士不足)、⑤福祉の視点の確保(貧困家庭が16%と高比率だが、保育料が高い。保育に対する公費投入を拡大し、すべての子どもへの保育の保障)―をあげました。
新制度の特徴について①直接契約・個人給付制度の導入。入所契約が自己責任になる。障害、アレルギー対応など経費がかかる場合に契約を結べないケースが発生。現行の委託制度は、運営費の使い道が保育に限定されるが、新制度は保育料と個人給付で運営されるため、投資や株式配当への支出も可能になる。介護保険に倣えば、施設の改築・改修に補助金が出ない。人件費の削減による保育の質低下が懸念、②保育の多元化。施設型給付の対象は、保育所、幼稚園、認定子ども園。地域型保育の対象は、家庭的保育(5人以下、保育者=研修修了者)、小規模保育(6~19人)、事業所内保育(地域の子ども受け入れが要件)、居宅訪問型保育。小規模保育でA〈保育者=保育士〉、B〈同=保育士1/2以上〉、C〈同=研修修了者〉など子どもが平等に扱われなくなる、③認定制度の導入。市町村が保育の必要性と時間を認定(1号は、3歳以上児で必要性なし。2号は、3歳以上児で必要性あり。3号は、3歳未満児で必要性あり。2号、3号認定について標準時間=11時間、短時間=8時間を認定)。保育料の徴収が複雑になるため、自治体が負担して標準時間と短時間の保育料を同じにする、予定の自治体もある。11時間まで使えると主張する保護者に対して、場合によっては、これまで通りの利用時間で納得してもらう園側の労力が生じる(11時間に見合った保育者・人件費が確保できない)―などの仕組みと問題点を指摘しました。