日本共産党西部地区委員会が11月23日に開いた演説会で仁比聡平参院議員が演説しました。
仁比氏は、アベノミクスによる輸入物価の上昇と消費税8%で中小業者の経費が2~3割増え、死活問題になっているが、財界は消費税を19%にしようとしていると警告しました。
そして、財政再建と社会保障財源について、消費税に頼らない別の道があると強調しました。
※ 消費税創設以来26年で、消費税の税収は282兆円です。
ほぼ同時期に法人3税は254兆円の減収となりました。所得税・住民税は248兆円の減収となりました。
仁比氏は、第一に所得税は応分の負担になっていないと指摘し、能力に応じた負担にすべきだと主張しました。
アベノミクスによる株価上昇で、2年間で資産が100億円以上増えた大株主は、100人以上いる、一方で庶民は、実質賃金が15カ月連続で減少(年収で8万4千円減)したと指摘しました。
※ 現行の所得税制度では、所得が1億円を超えると逆に負担率が下がっています。株取引の所得=株式配当が分離課税とされ、税率が20%(所得税15%、住民税5%)と低くなっているからです。
株式配当・譲渡所得は、分離せずに他の所得と合わせて総合課税とし、富裕層は所得税・住民税の最高税率50%(15年前に65%から引下げ)を適用すれば、6千億円の税収になります(所得税の累進課税を徹底すれば、6兆円の税収が見込めます)。
相続税の最高税率も11年前に70%から50%に引き下げました。所得税・住民税・相続税の税率を元に戻すだけで1兆8千億円の税収になります。
サラリーマンの社会保険は、年金保険料の上限が月額62万円、医療・介護保険料の上限が月額121万円です。上限を引き上げて高額所得者に適正な保険料の負担を求めれば、2兆円以上の税収が見込めます。
仁比氏は、第二に大企業が中小企業に比べて法人税を負担していないと指摘し、応分の負担をするべきだと主張しました。
トヨタ自動車の営業利益は円安効果で2兆3千億円と史上最高(大企業全体で経常利益は前年度比8兆8千億円増え、34・8兆円と史上最高)になったと報告しました。
※ 大企業の法人税の実質負担率は14%と低く、中小企業の25%と比べて著しく不平等になっています。
その理由は、研究開発減税(年間4千億円減税)、連結納税制度(年間6千億円減税)=親会社と子会社の損益を通算して納税、受取配当益金不算入制度(1兆4千億円)=法人が国内法人から受け取った配当の全部または一部を課税所得に算入しない、海外子会社配当益金不算入制度(6千億円)=海外子会社からの配当を課税所得に算入しないなど、中小企業に利用困難な制度で大企業が優遇されているからです。
大企業への優遇税制を廃止・縮小すれば、2兆4千億円の税収になります。
12年度に30%から25・5%に引き下げられた法人税を元にもどせば、1兆9千億円の税収になります。
投機マネーによる為替取り引きが増加しています。0・01%課税するだけで1兆円の税収になります(公共事業や軍事費の削減でも3兆円程度の歳出減が見込めます)。
仁比氏は、第三に国民の所得を増やす経済改革をすすめ、GDPの6割を占める家計を温めて内需を拡大することで、経済も財政も再生させできると主張しました。さらに、大企業の内部留保285兆円の一部を活用して、大幅な賃上げと安定した雇用を増やすよう提案しました。
※ 消費税が創設された1989年から2013年までの25年間の平均名目成長率は0・9%と低く、消費税を5%にした97年以降では、マイナス0・5%となっています。経済が縮小していては、税収は増えません。
97年以降の平均名目成長率は、アメリカ4・5%、イギリス4・3%、フランス3・1%、ドイツ2・3%です。日本でも、国民の所得を増やし、平均2%台の成長をつづければ、10年後には20兆円の税収を得ることができます。
これは、消費税1%で2兆円ですから、消費税10%分に相当します。今で言うと、18%に相当する税収になります。
一方で、飲食料品を軽減税率にすると1%につき6600億円で、仮に10%にしたときに、5%にすると3兆3千億円の減収になり、消費税8%を10%にしても、税収がほとんど増えません。
毎年名目2%の経済成長率は、諸外国の例で明らかなように達成可能です。その場合、物価上昇を2%にするための金融緩和政策=アベノミクスでは、意味がなく、かえって悪性インフレを起こす危険性があります。
実態経済を成長させるためには、日本のGDPの6割を占める個人消費をあたためる必要があります。大企業の内部留保285兆円を活用して、正規雇用を増やし、最賃を上げ、下請け単価を引き上げ、中小企業や農林漁業を支援して、賃金・収入を増やすなどの手立てをとれば、国内での個人消費、設備投資を増やすことができます。