1日施行された過労死等防止対策推進法を受けて11月30日、「過労死をなくす鳥取県のつどい」が鳥取市で開かれました。
全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表世話人が基調講演し、過労死弁護団全国連絡会議の高橋真一弁護士が法の意義と内容について説明。高橋弁護士の司会で、寺西氏、産業医の井上雅勝氏、県中小企業労働相談所「みなくる」管理運営マネージャーの中西紀夫氏、米子高専の加藤博和准教授が意見交換しました。
1996年に飲食店の店長だった当時49歳の夫を亡くした寺西さんは、夫がバブル期の実績を短期間で取り戻すノルマを課せられ、社長から連日過度な叱責を受け、人件費節約でサポートがないまま、顧客開拓の営業、他店の仕入れ管理を命じられ、年間4000時間以上の過重労働をこなしたが、ノルマを達成できずに小規模店に降格されて、不眠等体調不良を訴えても認められず、自死に至ったことを報告しました。
夫が「しんどいけど、やりがいがある」仕事で過労自死したこと、国は労災を認めたが、損害賠償を求めた裁判で会社が責任を認めようとしなかったこと、労災や訴訟の申請書を書くうえで労働時間の把握や労働実態を証言する協力者を得ることの困難さを語りました。
そして、今また、長時間労働をこなす息子が「今会社が大変なときで会社を助けたい。やりがいを感じている。若いから大丈夫」と言うことを聞かず、心配していると話しました。
井上氏は、担当する事業所で月の残業時間が70時間を超える労働者を面接指導したところ、うつなどの精神障害が非常に多かったと指摘。「過労死(脳・心臓疾患、自死)は、長時間労働など過重労働がベースある。月の残業時間が80~100時間を超える労働者は、労働安全衛生法で産業医の面接指導が義務づけられているが、守られていない」と忠告しました。
中西氏は、サービス残業が増えていると指摘。「名ばかり管理職」や「帰ろうとすると、上司から〝明日の準備〟はと言われて帰れなくなる」などの例をあげ、「早朝出勤して始業時間前にタイムカードを押す、タイムカードを押してから残業する」などで労働時間の把握がむずかしいとのべました。
閉会あいさつをした県労働委員会の太田正志会長は、過労死が起こる背景についてふれ、「労働力を商品として搾取の対象にする資本主義では、労働者は資本の利益のためにいくらでも働かされる。規制が必要だ」と強調しました。