県弁護士会は1月17日、日弁連と共催で集団的自衛権についてのシンポジウムを鳥取市で開き、130人が参加しました。
軍事ジャーナリストの前田哲男氏が基調講演をおこない、日弁連憲法委員会副委員長の井上正信氏、ジャーナリストの三宅勝久氏を交えてパネルディスカッションしました。
前田氏は、日本が軍事力を使う国になることは、中国や韓国にとっても脅威であり、軍事力で他国を抑えようという考えを捨て、憲法の「共通の安全保障」(他国との信頼醸成)の精神を生かし、北東アジアに不戦共同体をと提言しました。
集団的自衛権によって韓国はベトナム戦争に参戦し、NATO諸国は湾岸戦争に参戦したが、「日本は憲法があるからできないとしてきた。今度は(集団的自衛権行使を可能にして)自ら手を上げようとしている」と警告しました。
自衛隊の変貌について、現状では武器使用は、警察活動の場面で個別の正当防衛しか認められず、法廷に送るために手足を撃つが、集団的自衛権行使では軍となり、隊として武器を使用し、「必ず敵を殺すために胴体を撃つことになる」と指摘しました。
三宅氏は、日本の直面する危機は外国の脅威よりも、安倍政権によって国会の機能が麻痺させられて憲法が骨抜きにされ、日本がアメリカの植民地にされようとしていることだと指摘。自衛隊は現在でも人権侵害と不正が横行し、組織的に隠ぺいされているが、人を殺すことも可能な軍隊になれば、人権侵害と腐敗が劇的に進行すると警告しました。
井上氏は、今回の企画が日弁連の集団的自衛権行使反対の第1回目の全国キャラバンとなる、国民に中身を知らせることが一番の歯止めになると強調。
自衛権発動の新3要件は、判断の根拠となる情報が特定秘密になり、国民のチェックなしに政府の判断によって米軍や多国籍軍の後方支援や治安維持など武力行使を伴う軍事活動をおこなうことになると批判しました。
中国や北朝鮮の〝脅威論〟について、「敵が攻めて来たらどうするか」と言われたら、「個別的自衛権で反撃する」のは当然で、「脅威にならないようにすることが政治の仕事だ。軍事力では衝突は防げない。交渉によって、国際協力によって、平和の共同体を構築することによって防ぐしかない」とのべました。
〝抑止力論〟の誤りについて、①相手も自分と同様の思考(攻撃以上の反撃を受けることを避ける合理的思考)が前提②論が破綻して攻撃を受けたとき、反撃に抑制が効かない③軍事力を双方が正確に把握が前提(現実は情報を隠す)④衝突は不可避(挑発による小競り合いは起こる)⑤国民がテロの脅威に晒される⑥相手を思いやることができない(相手に自分がどう見られているか想像しない)―を指摘しました。