知事選で平井伸治知事は、日本共産党が原子力安全協定の締結、県民参画条例の制定、鳥取看護大学の設置、関西広域連合に反対し、また、地方創生にも反対していると宣伝しました。
以下に日本共産党の反対理由を議会等の論戦から明らかにします。
【地方創生】
安倍政権の「地方創生」は、自治体の半分が消滅するとして、危機感と地域間競争を煽る増田レポートを前提に、道州制の導入までの間に市町村の機能強化をはかるもの(自民党の政権公約2014)で、「地方中枢拠点都市」(政令指定都市や中核市)に国の支援を集中し、拠点都市に周辺市町村を連携させ、雇用や生活環境の整備をはかるものです。
「地方創生」は、補助金等により外部から人材や企業を呼び込み、「選択と集中」で拠点都市へインフラ機能を集中し、大企業にビジネスチャンスを与えるものです。地域経済を担っている中小企業や農林漁業、農協などの経営基盤を強化するものではありません。
そのため、地域内での再投資が進まず、所得が域外への流出し、地域経済が発展しません。
「地方創生」は、地方再生ではなく、道州制をめざして大企業の利益のために、地方をゼロから創生するものです。
道州制は、外交・軍事を国の専権事項とし、沖縄・辺野古問題の地方の権限を切り離し、州政府は開発・公共事業など、市町村は基礎教育、医療、福祉などを担う役割に固定し、権限を制限します。関西広域連合も道州制の足がかりとなるものです。
行財政権限が喪失すれば、市町村合併で経験している通り、地方(特に周辺地域)の振興も住民サービスも後退します。
地方再生のためには、地方で住民が安心して暮らせる生活基盤が保障されなければなりません。そのための社会保障の充実や、正社員化など雇用と収入の安定が必要です。
ところが、安倍政権は、年金削減、サービス(要介護、特養入所)の介護保険外し、医療・介護の負担増(入院給食費増、保険料の引き上げ)、混合診療の拡大、生活保護削減、消費税増税など、社会保障を後退させ、限定正社員、残業代ゼロ、金銭解雇化をすすめています。また、TPP参加、農協つぶしなど、中山間地域を支える農業と住民組織の解体をすすめています。
【原子力安全協定】
鳥取民報前号で明らかにしています。
【県民参画条例】
第1にこの条例によって、県民投票の対象事項が当初案から相当狭められ、ごく限られた制限されたものになりました。
第2に住民が発議し、知事や議会の賛成を要する場合の直接請求署名は、地方自治法では投票資格者の50分の1ですが、条例では10分の1が必要となります。知事や議会の賛成を必要としない県民投票は、投票資格者の3分の1の署名が必要となり、ハードルが高すぎます。
第3に知事や議会の発議権は、条例で規定しなくても知事はもとより、議会は12分の1の議員の提案と議会過半数の賛成があれば、住民投票を提起できます。
第4に住民投票の選択枝の妥当性確保のためと称して、知事が第三者委員会を設置できます。投票実施前に選択肢の情報を検討する第三者委員会では、知事に都合がいいように選択肢が変えられる可能性があります。(鳥取市庁舎の住民投票では、住民側が求めた移転新築の是非が、市長の意向により新築か耐震改修かの具体案に変えられ、その後の混乱の原因となった)
第5に永住外国人や18歳以下の青年に投票権が与えられていません。
第6に成立要件を投票資格者の2分の1以上としています。
以上、県民投票の条件を厳しくして、事実上住民から住民投票の機会を奪う条例になっています。
【鳥取看護大学】
看護大学を設置する鳥取短期大学を経営する藤田学院は、鳥取県に対して16億4千万円の公的支援を要望。藤田学園は「16億4千万円の支援があったとしても、積立率が大幅に悪化し、現時点の水準に戻るのに10年かかる。要望支援額を下回ると積立率が大幅に悪化し、短大及び看護大が共倒れになる恐れがある」としていました。ところが、支援額は5400万円の減額となりました。
藤田学園が現状では看護大学を経営することは厳しく、短大と看護大学が共倒れになる恐れがあります。公立に比べて高学費であり、他県での実習など学生の負担があり、学生確保も不透明です。中国5県で県立看護大学がないのは鳥取県のみで、つくるなら県立の看護大学を設置すべきです。