【7月12日付】県弁護士会死刑考えるシンポー袴田再審事件通して死刑考える

 鳥取県弁護士会(足立珠希会長)は4日、鳥取市で死刑を考えるシンポジウムを開きました。1966年に逮捕され死刑が確定し、2014年に静岡地裁の再審開始決定で釈放された袴田巌さん(79)の姉、秀子さん(82)=浜松市=が講演し、「いまだ死刑囚のままです。早く再審を開始してほしい」と無罪判決を訴えました。


 シンポジウムでは映画「BOX 袴田事件 命とは」が上映され、袴田事件再審弁護団が報告。会場から、冤罪事件を起こした捜査機関や裁判所の責任をどう問うのか、などの質問が出て、冤罪と死刑の問題が鋭く問われました。


 袴田さんは、当時勤めていた味噌会社の専務一家4人が殺害、放火された事件で逮捕され、警察の過酷な取り調べによって「犯行」を自白。確たる証拠もないまま1年後、被害者の血が付いたとされる「5点の衣類」が味噌樽から「発見」され、有罪となりました。


 再審請求で行われた血痕のDNA鑑定結果を受けて、静岡地裁は「5点の衣類」が袴田さんのものでも、犯行着衣でもなく、捜査機関(警察)によってねつ造されたものとして再審開始決定しました。


 検察側は即時抗告し、東京高裁で審理されています。


 なお、袴田さんの自白調書は45通のうち44通が棄却され、残る1通も「逃走経路とされた裏木戸は、上の留め金がかかった状態では通過できない」「『凶器』のくり小刀で計40カ所以上の傷を負わせ、肋骨を切断・貫通はできない」「『5点の衣類』は血痕の付き方に矛盾があり、装着実験でズボンがはけず、味噌樽は出荷時に衣類があれば見つかっている」などのずさんなものでした。