日本共産党鳥取県西部地区委員会は13日、米子市でTPP(環太平洋連携協定)講演会を開きました。紙智子参院議員政策秘書の小倉正行氏が講演し、TPPは協定発効後、ただちに関税撤廃期間の繰り上げ協議に応じる義務があり、重要5品目も7年目に見直しとなり、全ての品目で関税が撤廃されるとして、国会決議違反だと強調しました。
小倉氏は、政府の試算が調整品を抜いたり、影響を半分しか見ないなど詐欺的なものだと指摘。牛肉輸入量73万㌧の内58万㌧、豚肉輸入量121万㌧の内85万㌧は調整品(加工品、加工用、調味液漬けなど)で関税は撤廃され、牛肉の関税が38・5%から9%になれば、酪農家のホルスタイン牛肉が打撃を受け、和牛農家は子牛価格の高騰、牛肉価格の押し下げで経営が圧迫されるとのべました。
酪農家は、脱脂粉乳・バターの輸入枠(現在13万7千㌧)が7万㌧増え、脱脂粉乳と競合するホエイ(チーズの副産物)は21年後に関税撤廃で、60頭規模の牛舎に1億円かかり、中堅農家が撤退しているとのべました。
米は年間843万㌧の生産量に対し、消費が毎年8万㌧ずつ減り、輸入枠の77万㌧に加え主食用に7万8400㌧が追加され、政府買い上げ備蓄米(毎年20万㌧)が棚上げ方式(5年で飼料用に売る)から回転備蓄方式(3年で主食用に売る)に変えられると米価暴落の要因となると指摘しました。
ミカン農家は、オレンジの関税率32%が8年後撤廃、オレンジ果汁の関税率21・3%が11年後撤廃され、ミカン果汁の需給調整機能(豊作時に果汁化)が弱まるとのべました。
食の安全でも、食品衛生監視員が406人(本来3千人必要)で輸入食品検査率8・8%と低く、検査結果が出たときは流通、消費されていると指摘し、自衛隊同様に総定員法適用除外にしないと食の安全が守れないと強調。動植物検疫・食品検疫には92時間かかるが、これを48時間以内通関にすれば、検査率が半減しかねないと懸念しました。
さらに遺伝子組み換え非表示、原産地非表示、収穫後農薬の緩和、BSEなどの発生地域に限定した輸入禁止、ISDS条項、規制改革会議への米国企業代表の参加などを上げ、成長ホルモン剤使用の米・豪産牛肉の輸入量増加に伴い、乳がんや前立腺がんが増えていると警告しました。
米国の有力大統領候補がTPPに反対し、甘利担当大臣が辞任するなど難航が予想され、たたかいはこれからだと強調。加盟後も政府が決めれば脱退できると解説しました。