【4月10日付】県革新懇TPPフォーラムー国民大収奪のTPP批准阻止を

 鳥取県革新懇は3月27日、北栄町でTPP(環太平洋連携協定)フォーラムを開き約90人が参加しました。アジア太平洋資料センターの内田聖子事務局長が講演し、TPPによって際限なく日本の法制度が米国多国籍企業の都合のよいものに変えられ、国民大収奪が行われると警告しました。


 内田氏は、医療の国民皆保険制度は残されるが、新薬の特許期間(データ保護期間)延長で後発医薬品の開発が遅れ、薬価(がん治療薬1回使用約100万円など)が高止まりし、保険適用すれば保険制度が破たんし、混合・自由診療が増えれば保険制度が空洞化する、自己負担が増えて民間保険が潤う仕組みがつくられ、いずれ国民皆保険制度が崩壊すると指摘しました。


 遺伝子組み換え作物・食品や農薬、添加物の非表示が広がり、食品の安全性が担保できなくなると強調し、ISDS条項で企業に国が訴えられ、負ければ多額の損害賠償を税金で払うことになると指摘。貧困が拡大し、医療にかかれなくなり、国民の暮らしや健康が守れなくなるとしてTPP批准阻止を呼びかけました。


 シンポジウムでは、小林一鳥取大学教授の司会で県畜産農協の鎌谷一也組合長、大山乳業の幅田信一郎組合長、県保険医協会の小田島耕郎事務局長、暮らしの環境アドバイザーの新田ひとみ氏が発言しました。


 鎌谷氏は、TPPは新自由主義の推進であり、グローバル企業の儲けのために食料、農業、農村に壊滅的な打撃をあたえると強調。農協や農業委員会が解体され、外国資本や商社が農業分野に参入して水田や農地を取得し(コメの生産調整廃止で米価を暴落させ、合わせて戸別所得補償も廃止し、兼業農家をつぶす)、生産から加工、販売まで手掛け、水田や農地を基盤とする農村が維持できなくなると指摘しました。


 日本の農業はすでに存亡の危機を迎えており、農家が出資した農業生産組合が人を雇い、後継者のいない農地を引き受けて耕作するなど、早急な手立てが必要だとして取り組みを紹介しました。


 小田島氏は、安価な後発医薬品を必要とする貧しい国の人々の命にかかわる問題だと指摘。診断、手術、治療の方法も特許になり、高価な医療への保険適用が困難になり(C型肝炎薬ハーボニーは3カ月服用で670万円)、高額療養費の自己負担額引き上げなどで、金持ちしか医療にかかれなくなるとのべました。


 また、自己負担が3割から4割になったら、3割に戻すことは条約上できず、民間保険の利用(儲け口)が広がる、医療費助成も外資から訴えられるとのべました。