鳥取県の「大山ふもとの自然環境と米子の水を守る会」は10日、米子市の淀江産廃最終処分場建設問題について学習会を開き約250人が参加しました。水俣病裁判弁護団副団長などを歴任し、産廃問題に取り組む弁護士で久留米大学大学院法科大学院教授の馬奈木昭雄氏が「なぜ産廃最終処分場は不要なのか」と題して講演しました。
馬奈木氏は、水俣病の教訓は国の基準を守ったのに起こったことだとして、ダイオキシンについて政府は最初安全だと言っていたのが規制の対象になり、80ナノ㍉、0・1ナノ㍉と時代とともに厳しくなったことを紹介。また、安全性より操業や経済性を優先した基準の設定がなされるため、基準を守っているから安全だとは言えないと指摘しました。原発の新規制基準も再稼働のための基準だとのべました。
さらに、安定型産廃最終処分場で担当者に試した(展開検査で目視確認)が〝安定5品目以外の産廃が混入しない〟の基準がクリアーできなかったことや、業者が実際の処理施設を使った汚水処理実験の結果を示せないことを紹介し、基準すら守れないのが現実だと忠告しました。
淀江産廃最終処分場計画地付近の塩川でダイオキシンの測定値が基準値を超えたことがあったが、県が国基準=平均値=は超えていないから大丈夫だと言った点について、馬奈木氏は環境ホルモンであるダイオキシンは一時期に妊婦が偶然暴露しただけで、胎児に影響(生殖器の発達異常など)を与えることを考慮する必要があるとのべました。
シートについても経年劣化で破れるのは当然で、破損個所が検知器で探せても〝掘り返して修理する〟ことは事実上できないと指摘しました。
最後に、ごみを出さない生産をすべきであり、産廃を増やし人体に害をもたらす産廃最終処分場はつくってはいけないと主張。ごみは生産者の責任で処理する仕組みにしないと、ごみはなくならないと強調しました。