【9月11日付】大平衆院議員が八頭中央森林組合と懇談ー林業を国の基幹産業に

 日本共産党の大平喜信衆院議員は1日、八頭中央森林組合の清水和美専務と懇談しました。市谷知子県議、塚田成幸衆院1区候補が同席しました。


 清水専務は、積雪のため冬場に仕事ができない日本海側林業は単年度事業が厳しく、複数年度事業が可能な基金を復活してほしいと要望しました。


 林野庁の交付金を活用した造林事業(間伐・路網整備、高性能機械導入、木材加工施設整備など)は、「国の予算が県に配分され、県が現場に工事発注するのが7月で、林道、作業道を付けるための設計があり、実際の工事や間伐は8、9月以降になる。日本海側は積雪の少ない12月に検査があり、それまでに工事を終わらせる必要がある。交付金が付く事業は3カ月余りしかない」と指摘。


 昨年までは、基金を活用して年度をまたいで4月からも工事ができたので、事業の規模も木材の搬出量も順調に伸びたが、今年は単年度事業で事業規模が縮小し、木材の搬出量が減ったと訴えました。


 山陽側は3月まで工期を使って林業ができる、一方で日本海側は、積雪のために3月までの4カ月間、林業の仕事ができないが、雇用を切るわけにいかないので、スキー場の仕事やJRの除雪(プラットホーム、踏み切り、ポイント切り替え)、キノコ栽培などで繋いでいるとして、「太平洋側に出稼ぎに行く組合もあるが、うちは地域で雇用を守るよう努力している」と強調しました。


 木材の価格が安いために搬出するほど赤字になり、国などの交付金なしで林業は成り立たないとして、鳥取県の間伐材搬出補助金(1立法㍍当たり3000円)は、非常に助かっていて他県にない手厚い制度だと評価。


 「国が国費で林道を整備してくれるなら補助金がなくても林業は成り立つ。林道(1㍍当たり2000円)からなら作業道を制約なく取り付けられるが、国道からは県道(1㍍当たり50万円)を付けないと取り付けができず、ものすごく費用がかかる」とのべ、他の先進国のように林業を基幹産業に位置付け、産業基盤を整備してほしい(ヨーロッパの機械が日本で使えない。トランシーバーの無線が電波法に抵触するため何キロも電波を飛ばせないなど法整備が必要)と訴えました。


 現在、外国産木材(松など)と国産材のスギ・ヒノキの価格が逆転して国産材の方が安くなっているが、問題があるとのべました。


 オーストリアなど外国からまとまった木材(丸太1割、9割が製品=内パルプ・チップ6割、製材2割、合板1割)が入って来るのは、「オーストリアから広島まで船で輸送するほうが、広島から名古屋まで陸路で運ぶよりも安い。大手の中国木材は宮崎県日向市の港に工場を建設。大型貨物船が韓国の釜山経由で国産材を逆輸入するケースもある」と陸送の高さを指摘しました。


 さらに、木材の使い方が合板、CLT、バイオマスに主流が移っているが、加工現場が鴨居、床柱、長押などの造作材にとらわれていて、製材・加工の技術と製品にした段階でのコストがヨーロッパに追いついていないと指摘しました。


 搬出のためにはプロセッサ・ハーベスタなどの機械化が必要で設備投資がかかるが、交付金の制度がうまく使えないため、まだ多くの森林組合が搬出に力を入れる方向になっていないとのべ、「集落ごとに座談会を開いて合意を得ることができたので事業をすすめることができた」と、全国的にも八頭中央森林組合の取り組みが進んでいることを紹介しました。


 職員の平均年齢が37歳と若く、地元雇用に貢献していると強調。「年間で木材を1万立方㍍搬出できれば20人が雇用できる。現在搬出量が7万立方㍍で、職員70人、外注70人の雇用が確保できている。搬出量が増えれば、それだけ雇用が増える。地方創生というならば、国の林業支援を打ち切らず、このまま続けてほしい」と訴えました。


 大平氏は「田舎なら300万円で生活ができる。夫婦共働きなら家族も暮らしていける。緑の産業再生プロジェクト事業(基金)の復活のため尽力したい」と答えました。