鳥取県地域人権運動連合は8月21日、湯梨浜町で総会を開き運動方針を決めました。部落問題研究所理事の奥山峰夫氏が「部落問題解決の到達段階と逆流現象」と題して講演しました。
奥山氏は、昨年の国会に自公民が提出した「部落差別解消法案」の問題点を指摘しました。
法案の目的に「現在もなお部落差別が存在」と記していることについて、法律を必要とするような立法事実はないと強調。同対審答申では、部落差別を「心理的差別」と「実態的差別」に分けたが、具体的な格差や差別的な行為があってはじめて社会的に問題となる事実と言えるとして、匿名の「差別落書き」などは行政が対応する問題ではないとのべました。
法案には「部落差別の定義」がなく、何を「差別」とするか主観的に認定され、同和事業、糾弾活動に根拠を与え、部落問題解決への逆流を生むものだと批判しました。
法案で国が「地方自治体の協力を得て部落差別の実態調査、必要な教育及び啓発を行う」ことに、提出者の自民党が、かつて同様の法制に「被差別対象地域及び住民を法的に固定化させるという、極めて重大な政治的、社会的結果を惹起する恐れがある」と反対したことを指摘しました。