【10月23日付】鳥取市議会で公明党主導で医療費-助成への減額措置廃止意見書可決

 いま地方自治体が行っている医療費助成に対して、国は国保の国庫負担金を減額するペナルティを科しています。この減額措置廃止をめぐって、鳥取市議会で公明党が共産党に対抗して意見書案を出すという事態に発展しています。鳥取県内では、減額措置廃止の意見書が出されたのは鳥取市のみでした。


 日本共産党鳥取市議団(伊藤幾子団長)は、定例議会初日の9月2日、子どもの医療費助成への減額措置の廃止を求める意見書案を提出しました。全国の知事会・市長会・町村会の地方3団体は、国に対してこの減額措置を直ちに廃止するよう求めています。


 鳥取市の場合、医療費助成に対する減額は年間7千数百万円。子どもの医療費分だけで約800万円です。県内では18歳までの医療費助成が実現。しかし、一部負担金があり、無料にしてほしいとの父母の強い願いがあります。


 2日の議運で共産党案が議題に取り上げられました。「公明党は、いま国が検討しているのに、このタイミングで意見書を提出することがいいのかと異論を出していましたが、共産党の案を持ち帰って検討することになりました」(伊藤)。


 ところが、議会最終日2日前の9月28日、第3回目の議運の審議に公明党が突然、独自の意見書案を出してきました。


 公明党案は財源を確保して、子ども・障害者・一人親家庭など自治体の医療費助成制度全体にかかるペナルティの見直しを求めるものでした。「廃止を含む見直し」で、明確に廃止を求めていないものの、地方3団体の求める子どもの医療費助成へのペナルティ廃止にも言及しています。


 「9月29日の議運では、これまで共産党案に異論のなかった自民党系会派『新生』が公明党案に賛成しました」(伊藤)。


 民進党や自民党の議員もいる会派「結」の委員は共産党案に賛成しましたが、議運では与党の賛成多数で公明党案が採用されました。


 共産党市議団は議会最終日の9月30日、本会議に意見書案を提出。本会議では、公明党案が賛成18人で可決しましたが、「会派『新生』は賛成討論に立たず、公明党の提案説明や賛成討論に拍手しませんでした。無所属の議員が質疑で公明党の意見書案の手続きと問題点を厳しく指摘する場面もありました」(伊藤)。


 共産党の意見書案は、共産党とともに「結」、「市民フォーラム」、無所属の議員13人が賛成しました。
 共産党案の求める内容は、財源の規模も小さく(800万円)、地方3団体の要望に基づいた誰もが賛成できるけっして高くない水準のものでした。


 一方で、公明党案の求める中身は、財源の規模が大きく(7千数百万円)、地方3団体の要望を超えて医療費助成全体へのペナルティの見直しを求める水準の高いものでした。


 医療費助成問題は、自公対野党共闘の構図になりましたが、公明党が水準を高くした意図は別にして、こうした市政の動きの背景に国民・市民の願いと世論があることは確かです。