県漁協の博田支所長は、支所で被災した漁船は7隻だとのべました。内訳はイカ釣り船1隻(9・1㌧)が浸水し、補助エンジンが被災、一本釣り船2隻(3・4㌧、2㌧)が沈没、船外機船4隻(1㌧未満)としました。
博田支所長は「3・4㌧だとエンジンと船体で1500万円、漁労装置を付ければ2000万円になる。エンジンを買うと500万円かかる。中古船を探しているところだ」とのべ、国、県の支援を求めました。イカ釣り船は補助エンジンだったので100万円程度ですんだが、本エンジンだと700万円かかるとのべました。
漁船保険は、現在の船価の評価額で算定されるので保険給付は損害を補てんするものだと指摘。上乗せ掛け金は認めず、高価な漁労装置は対象外だとしました。
9㌧クラスだと建造費が3000万円以上かかるが、処分費に70~80万円かかり、中古船を手放すときは、10万円でもいいから買ってくれというのが本音だとのべ、修繕費を保険で賄えず、手放す漁業者もいると話しました。
底引き網漁業も今年は時化が多く、前年の半分しか水揚げがないと嘆き、「底引きで儲かるのは松葉ガニくらい。ヒラメ、タイ、ハマチの一本釣りも養殖モノの値段に下ぶれして値が付かない。かつてはキロ当たり7千円したヒラメが、いい時で3千円にしかならない。年間の水揚げは200万円程度」とのべました。
沿岸漁業の後継者育成も、西部は条件があるが東部はむずかしいとして、「西部の美保湾は穏やかで年間200日程度、操業できる。岩場が多く、貝、海藻、回遊魚など複数の漁業を兼業できる。東部は時化で年間100~120日程度の操業で、砂場が多くて魚が居着かず、ヒラメを一本釣りするか、定置網で回遊魚を獲るくらいしかいない。昔はスルメイカが春夏秋冬、来ていたが、今は白イカ漁が主で漁期は6~10月だ」と苦労話を語りました。