市民エネルギーとっとりは3月29日、鳥取市で小水力発電シンポジウムを開きました。
栃木県北東部を管轄する那須野ケ原土地改良区連合の星野恵美子参事が、小水力発電の取り組みについて基調講演し、徳島県・佐那河内村産業環境課の佐河敦氏が新府能の小水力発電所開設、岡山県津山市阿波村担当の田中健昌氏があば落合川小水力発電事業の可能性調査、鳥取県・用瀬町の上紙一正氏が別府小水力発電所の更新事業についてそれぞれ報告しました。
星野氏は、土改連の職員10人で農業用水路に設置した8基の小水力発電所(最大出力1500㌔㍗)を管理運営し、除じん機のごみ取りを地元農家に任せるなど雇用も生まれ、約2億5000万円の売電収入の半分を農家に還元していると紹介しました。
創意工夫によって14億円の建設費を6億6000万円に圧縮、4基同時発注で1基当たりのコストを4割削減、5000万円の除じん機を260万円のオリジナル機で代替、メンテナンス費を格安の1300万円に抑えるなどで、補助金と自己資金だけで借り入れなしで経営していると報告しました。
佐那河内村の佐河氏は、300㌔㍗の小水力発電所を復活させたかったが、経費が大きくなりすぎ、㌔㍗に抑えて農水省の補助事業(補助率2分の1)の適用を受け、7600万円で建設したと紹介。少量、高落差でリスクが大きく、大手から断られたが、経費を抑えるために鋼管をポリエチレン管で代替し、外国製の水車を採用し、系統連携で逆変換装置を使わないという非常識を貫き、ベンチャー企業に発注したと説明しました。計画が実現できたのは、通常、水車と発電機だけで1億円するところ、高性能で1500万円の格安な外国製水車が見つかったことだと指摘しました。買い取価格は1㌔㍗当たり34円です。
阿波村担当の田中氏は、町の職員がコンサル任せにして計画が動かなかったのを、自分が地域おこし協力隊として担当することで軌道に乗ったとして、現状を報告しました。
用瀬町の上紙氏は、別府集落の住民385人を組合員とする電化農協を設立し、更新のためにFITに乗せ、134㌔㍗の発電所を作り、利益を組合員に還元しているとのべました。
岡山県・西粟倉村の産業観光課長は「2基めが完成すれば、小水力だけで村税収入に匹敵する1億2000万円の売電収入になり、地域が活性化する」と発言しました。