鳥取民商は5月27日、鳥取市で共謀罪の学習会を開きました。川本善孝氏が講師を務め、問題点を語りました。
日本の刑法には、行為原則・侵害原則があり、ある行為を犯罪として罰するためには、他人の権利・法益=生命・身体・自由・名誉・財産など=を侵害する行為が存在することが必要だとのべました。
殺人やテロなどの重大な犯罪については、すでに共謀罪14、予備罪40、内乱予備陰謀罪4の犯罪類型など計画・準備段階で取り締まる法律があり、テロ対策として軽微な犯罪を計画・準備段階で取り締まる「共謀罪」法案はいらないと指摘しました。
さらに、罪刑法定主義・刑法の自由保障機能があり、何が犯罪で何が犯罪でないかが、明確に法律で定められていることが必要だとのべました。犯罪をしていない人を処罰しない、市民の自由を保障する機能(憲法31条)だと説明しました。
この法案は、国民を監視下に置き、内心に立ち入らないと共謀罪を立証することはできず、憲法19条の思想・良心の自由を侵すことになると批判しました。
自白強要・自首減軽措置・司法取り引きで冤罪事件が多発し、戦争反対や原発反対の運動への弾圧を懸念しました。現に、大垣警察市民監視事件(岐阜県大垣市で警察が風力発電反対の市民を監視し、4回も意見交換会をして、個人情報を中部電力子会社に提供していた)、大分県警別府署隠しカメラ事件(県警が野党候補を支援する労組事務所に盗撮のビデオカメラを設置していた)などが起こっていると紹介しました。
政府は国際組織犯罪防止条約の締結に、この法案が必要というが、条約は経済犯罪が対象であり、テロと無関係で、共謀罪や参加罪の新法をつくる必要がなく、今の国内法を整備すれば締結できる、共謀罪法案ではテロの単独犯が対象外になっていると指摘しました。
国連特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏の安倍首相あての書簡についても紹介。
ケナタッチ氏は、共謀罪についてプライバシー保護策の欠如▽令状を採る手続き強化の欠如▽監視活動を許可、チェックする独立機関の欠如▽警察や公安や情報機関の活動によるプライバシー権の侵害―などの懸念を表明しました。
その上で、批判に対する政府の見解▽国際人権法の規範、基準と法案との適合性▽市民の代表が意見をのべる機会―などについて質問していますが、回答はありません。