【8月20日付】米子市で平和のための戦争展 戦のない世を子どもたちに

 米子市で5日、「平和のための戦争展」が開かれました。同実行委員会が主催。


 平和講演会では、安来市加納美術館の加納佳世子名誉館長が「恒久平和を希(ねが)って~キリノ大統領と加納莞蕾~」と題して講演しました。


 加納莞蕾は、陸軍従軍画家として戦争画を描き、戦後はフィリピンのキリノ大統領に戦犯として刑務所にいた日本兵の釈放を求める手紙を送り続け、大統領の赦免によって108人が帰国を果たすことができました。


 莞蕾の4女として父を見続けてきた佳世子さんは、莞蕾が帰国した古瀬貴季元海軍少将に会って「戦争は人類にとって大きな誤りである。日本を正しめなければならない」と言われたことに感動し、フィリピンの戦犯日本兵の救出に乗り出したとのべました。


 莞蕾が「やがて財力をつけた国は再び第3次世界大戦を起こすだろう。それを防ぐには戦犯たちに語ってもらうことだ」と、妻と3人の子どもを日本兵に殺されたキリノ大統領に「許すという奇跡のみが人類に恒久平和をもたらす。目には目をでは決して達成しえない」と手紙を送り、キリノ大統領が「子どもたちに憎悪を受け継がせてはならない」と赦免の声明を出すに至った経緯を解説しました。


 莞蕾は原水爆禁止運動にも注力し、子どもを戦争の惨禍から救うために「世界児童憲章」を追求したことにも触れました。


 戦争展では、原爆パネル、教育勅語と森友学園、軍服などの遺品が展示され、中国帰還者連絡会会員だった画家の故桧山高雄の反戦絵画パネル展が開かれました。