【4月15日付】市民エネルギー鳥取が対話集会 ソーラーシェアリングで農業と発電

 市民エネルギーとっとりは3月24日、鳥取市で第3回対話集会「農業と自然エネルギーの共生」を開き、千葉エコ・エネルギーの馬上丈司代表が講演し、エナテクスの牧野健治氏が事例紹介しました。


 馬上氏は、農地の上にソーラーパネルを設けるソーラーシェアリングは農業と太陽光発電の両立が目的で、農家所得を増やして生計が成り立つ収入を確保▽高齢化がすすむもとでの担い手確保▽耕作放棄地の再生と農地の維持▽農業と農村、地域の再生▽食料自給率の向上▽再生可能エネルギーの飛躍的拡大▽脱化石燃料で地球温暖化対策▽脱原発の促進▽太陽光発電効率の向上―などの利点を語りました。


 ソーラーシェアリングは、農地に太陽光が届くようにソーラーパネルを、隙間を開けて配置します。


 農水省がソーラーシェアリングに踏み出した背景に危機感があると強調。昭和30年代に600万人~650万人いた農業従事者が2016年度には192万人となり、その内の65歳以上が125万人(65%)を占め、年間に新規就農者が6・5万人(44歳以下は2万人)に対し、離農者が16万人で、農業従事者が10万人ずつ減少していると指摘しました。


 一方で農地は、耕作面積が444万㌶(水田242万㌶、畑202万㌶)で、農地に戻せない荒廃農地は28万㌶で増加傾向にあると指摘しました。


 そのうえで、「国民が食べる量は変わらないが、農家がものすごく減っている。農地も減り、このままでは、国民に食料を供給することがますます困難になる。一番の原因は、農業で生計が立たないこと。そこで下支えに自然エネルギーを使おうと考えた」と解説。要件は、収穫量80%を確保▽売り物になる収穫物▽設備はすぐ撤去可能―と紹介しました。


 千葉県匝瑳(そうさ)市の匝瑳メガソーラーシェアリング発電所について、農地面積13㌃▽発電出力49・5㌔㍗▽建設費1600万円▽大豆や麦を栽培▽売電収入約200万円▽農業法人への耕作委託料8万円だと紹介。「農地を使えば太陽光発電を爆発的に普及できる。米をはじめ、ほとんどの作物がつくれる。教育と観光に役立つ」と話しました。


 牧野氏は北栄ソーラーファームを、農地面積1・7㌶▽発電出力1000㌔㍗▽常緑キリンソウを栽培▽売電収入4000万円▽年稼働し、10年でペイできる―と紹介しました。