子どもの人権広場は8日、東京大学の孫大輔医師を招いて米子市で対話集会を開きました。孫氏は自分らしく生きるうえでの対話の重要性について語り、参加者と交流しました。
孫氏は、精神病患者と家族に対して対話をすることで癒すオープンダイアローグの研究でフィンランドに行った経験やムーミンの世界観について紹介しました。
対話とは単なる会話ではなく、価値観がぶつかるときのコミュニケーションであり、日本では対話が希薄だと指摘。また、意見をたたかわせて結論を求める議論とちがい、共感力をベースに相手の価値観を理解することがゴールになるとのべました。
患者・家族と医師、看護師など医療関係者が参加するオープンダイアローグの成果について、フィンランドの西ラップランド地方では、統合失調症の年間発症率が12年間で10万人に33人から10万人に7人に減少▽抗精神薬の服用率が他地域の75%に比べて17%と低い―と紹介しました。
これから日本は多様性が認められる社会に変わる必要があり、対話や言葉を通して伝えることが大切になると強調。「新入社員が不満を社長に言えるか」の設問に、オランダでは社員の権利として当然だという意見が返ってくるが、縦社会の日本では言えないとのべました。
医師と患者の関係も日本では主従関係になっているが、貧困、認知症、精神疾患の人、一人暮らし、外国人など、体、心、社会問題が絡むケース、体の病気に薬を投与するだけでは解決できないケースが増えており、オープンダイアローグの導入が必要だと強調。フィンランドでは、医師と患者の1対1対応はしない▽すべての参加者が平等で、あらゆる発言が許容され、傾聴され、応答される▽患者がいないところでは何も決めない―と紹介しました。