【6月3日付】学生連続講座で「子どもの貧困」講演会 経済的問題・関係性の貧困も解決を

 学生有志でつくる「自分の生き型・社会のあり方連続講座」実行委員会は5月19日、鳥取市で講座を開きました。鳥取大学の大谷直史准教授が「子どもの貧困を実践を通じて考える」と題して講演しました。


 大谷氏は、子どもの貧困は学習支援を強化するだけでは解決しないと指摘しました。欧米社会が、収入やに対し、日本社会は「学歴」がものを言う社会だとのべました。


 県内調査で「所得階層Ⅰ(可処分所得が中央値の半分以下。125万円以下)は学習理解高で大学進学希望は32・5%、所得階層Ⅱ(125万円~250万円)は学習理解高で大学進学希望は54・8%、一方で所得階層Ⅲ(同250万円以上)は学習理解低で大学進学希望は60・0%(学習理解高では76・3%)だった」として、貧困家庭の子どもが、成績がよくても経済的理由から大学進学をあきらめている実態を告発。貧困問題の解決には、学習支援とともに経済的支援が必要だと強調しました。また、一人親家庭の半分以上が相対的貧困層だとのべました。


 貧困問題の深刻さは、物が欠乏していることではなく(むしろ物は充足している)、貧困家庭が社会的・人間的関係から疎外され、孤立していること=人間関係の欠乏=だと指摘。現状を解決するために、子どもや母親の居場所を提供し、人間関係を築く支援の実践を紹介しました。


 参加者は「暗い顔をしていると人が寄り付かないので無理して明るい顔をしている」「人間関係ができていれば、声をかけると思う」などと、意見交換。大谷氏は「問題を抱えている子だから関わりたい」と思える社会への転換をめざしていると語りました。