21日告示の鳥取県知事選に福住ひでゆき氏=無所属新、日本共産党推薦=を擁立する「憲法をいかした、住民自治による民主県政をつくる会」は10日、倉吉市で学習と交流の集いを開きました。
講演した鳥取大学名誉教授の藤田安一氏は、戦後生まれた憲法は、戦前に国家官僚が知事に就任し、県が国の出先機関として県民を戦争に動員したことを反省し、戦争抑止を大きな目的として地方自治体を国から独立した機関にしたと強調しました。
しかし、国は地方自治体を下請け機関とするために、①機関委任事務として、自治体に国の仕事をさせた②自治体の仕事の6割が国の仕事であるのに対し、4割しか自主財源がなく、財源を国に握られた。国庫補助金や地方交付税で地方を統制した③国の官僚機構は出向(中央に帰る)という形で県の重要ポストに官僚を派遣し、人事権を握り、地方を支配した。知事の6割が中央官僚出身―と指摘しました。
今は地方分権一括法で「国と地方自治体は対等な協力関係」と表向きは改善されたが、沖縄を見ても実態は変わっていないとのべました。第1次安倍政権による「愛国心」導入の教育基本法改悪、防衛省への昇格、国民投票法、現在の安倍内閣の軍事化(秘密保護法、安保法制、共謀罪、自治体の自衛隊員募集義務化発言)で、むしろ、下請け機関化は強まっていると警告しました。
鳥取県の経済指標を示し、①県民所得は2012年から46位に転落(08年は37位)②生活保護世帯は、08年の3842世帯から16年の5656世帯に増加③国保料は、08年の年額7万4823円から17年の8万846円に増加。その間、滞納世帯は7493世帯から9379世帯に増加④介護保険料は2000年の月額2891円から18年の6433円に増加⑤最低賃金は全国ワースト2位の時給762円だと指摘。国の景気動向指数も3カ月連続の低下だと紹介し、地方経済も県民生活も悪化しているとのべました。
福住氏は、安倍政権とたたかわなければ県民の命と暮らしは守れないとのべ、平井県政が県外・外国の企業につぎ込む金を、地元企業と農林水産業に回し、地域経済を活性化したいと表明。子どもの医療費無料化、県費による国保料削減など暮らし第一の県政に変えたいと訴えました。
また、住民の命と健康、豊かな自然と水を守るために、島根原発の稼働に反対し、淀江産廃処分場建設に反対すると表明しました。
県民医連の中田幸雄会長は、民医連加盟病院での経済的手遅れ死亡事例が昨年の60件から今年は77件に増えているとして、末期がんなどの患者の事例を紹介しました。鳥取県は自動車所有を理由に生活保護を断られるが、車は生活に欠かせないと指摘しました。
原発に頼らないエネルギーをめざす「えねみら・とっとり」の山中幸子共同代表は「島根原発で事故が起これば、多くの人が被ばくし、故郷を失う危険がある。国が住民の避難への責任を放棄する下で、住民に対する首長の責任は重い」と指摘。現在の避難計画では被ばくは免れず、原発稼働反対の知事を選びたいと訴えました。
農民連の今本潔代表は、ここ10年で県内の販売農家が3割減少するという深刻な状況であり、農産物自由化(TPP、EPA、FTA)をすすめれば日本農業は壊滅的すると、農業を守らない安倍政治を糾弾しました。