アフガニスタンで用水路を建設し、農業と農村の再生に取り組む中村哲医師(72)を招いた講演会が11日、鳥取市で開かれ、約500人が参加しました。主催はペシャワール会・鳥取。
中村氏は、1984年にアフガニスタン難民が押し寄せるパキスタンのペシャワールに赴任し、診療所の建設に取り組みました。
ハンセン病やその他の感染病の多くが、不衛生な水や食料不足によるものだと知り、井戸の建設に取り組みます。しかし、2000年からの大干ばつで、自給自足の住民たちが農業をできなくなり、国内難民化し、村々が消滅しました。
中村氏は、雪解け水を豊富にたたえるクナール河に取水堰を作って用水路で砂漠化した農地に水を運ぶことを考えました。すると、話を聞いた元住民たちが故郷を取り戻そうと次々と帰ってきて、用水路の建設に従事しました。
中村氏は現在、1万6500㌶の農地を取り戻し、60万人の住民が帰ってきていると紹介。しかし、「地球温暖化で干ばつが続けば積雪が減少し、大雨で洪水が起き、農業用水が不足してしまう」と危機感を示し、温暖化防止対策を強調しました。
憲法9条について質問が出て、中村氏は「何人にも銃を向けず和解する、物事を平和的に解決する精神が大事だ」と答えました。