斉藤教授は言います。
非難が沈静化し、本人が家族の一員として日常生活を送ることで、追い詰められ感が軽減します。料理や家事などを引き受けることで自己の存在価値を実感でき、家族以外の人との関わり(父の入院で医師や看護師と関わる。犬の散歩で隣人に挨拶するなど)、努力した体験と成果(免許や簿記など資格を取る)で自信を持てるようになります。
そうすると自分を静観できるようになり、家族がいつでも戻れる安心の基地になります。
次の段階では、支援機関へのアプローチ願望が芽生えますが、人とのコミュニケーションが怖いなど、脱出への不安があります。
支援センターやサポステ、居場所NPOなど、「清水の舞台から飛び降りる」覚悟で勇気を出してハードルを越えて、支援機関につながると、新たな自分に出会う段階になります。
支援機関の人は、批判せず受け止めてくれ、心が元気になります。信頼できる支援者の存在に支えられて、あの頃の自分の行動が分析でき、母親の借りた畑で野菜を作るなど、親からの心理的な自立が始まります。
そのために、▽親が支援機関の情報を流す▽チラシ配りなどちょっとしたアルバイトを紹介する▽中間的就労へ誘う▽イラストやギターなど得意ごとでボランティアなどに誘うことや、▽知り合いが誘う▽ネットで経験者が居場所に誘う▽信頼できる支援機関に誘ってもらう―ことが大事です。