鳥取市で10月5、6の両日、県主催の卒FITセミナー「固定価格買取期間満了後の太陽光発電の活用方法」が開かれました。その後、11月に経産省の調達価格算定委員会が開かれました。
まず、11月の同委員会では、事務局案によると2020年4月以降のFITのあり方が大きく変わります。
10KW未満の家庭用太陽光発電は、現行の通り、自家消費後の余剰電力がFITの対象になります。現在、10KW以上50KW未満の産業用太陽光発電は、全量買取が可能ですが、20年度からは全量買取が廃止され、家庭用と同様に自家消費(30%以上)後の余剰電力がFITの対象となります。ただし、地域活用電源の地域消費型に位置づけられ、災害時に住民に利用され、通常時は地域新電力などに売電する必要があります。したがって、投資目的の新規開発は、ほぼできなくなります。50KW以上100KW未満は、全量買取が可能です。100KW以上は競争入札になります。
20年度の1KW当たりの売電単価は、家庭用が20円(東京・中部・関西電力以外は22円)、産業用が12円になる見込みです。競争入札も同レベルまで低下すると予想されます。
現在の電気料金は家庭用が28円~33円、産業用が15・8円、夏季17・37円=東京電力=です。そのため、売電するよりも自家消費する方が経済的です。
10月の卒FITセミナーでは、太陽光発電協会の森内荘太氏が基調講演し、中国電力、とっとり市民電力の担当者が講演しました。
森内氏は、「12年から18年にかけて家庭用は1・5倍の10・5GW、産業用は約100倍の39GWに伸び、合わせて50GWの到達です。家庭用の累積導入件数は250万戸を超えました」と紹介しました。
この原動力にFITがあり、国民の賦課金によって差額が賄われてきたとして、FITの果たした役割を評価しました。
09年に売電を開始した家庭ではFITの買取期間の10年が切れ、自家消費を増やすか、電力の契約先を選ぶかが問われます。
売電の場合、県内では大和ハウスが戸建住宅を建てれば11・5円、さらに、リチウムイオン電池を購入すれば22円です。中国電力は7・15円~9・15円、とっとり市民電力は8・5円です。
森内氏は、自家消費を増やすことを勧めました。太陽光発電が稼働する昼間に電化製品を活用し、▽エアコンの活用、洗濯、掃除をする▽エコキュートで湯を沸かす▽蓄電池に貯める▽電気自動車に替える▽電気の預かりサービス(余剰電力分を夜間に送電してもらい、電気使用量を相殺する)を利用する―などです。
とっとり市民電力の武田誠氏は、東郷太陽発電所(1980KW)や秋里バイオマス発電所(200KW)など電源開発しながら、鳥取空港発電所(1990KW)など地元発電事業者から電源供給を受けており、さらに伸ばしていきたいと語りました。