政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は19日、オーバーシュート(爆発的患者急増)の危険を警告しました。
米国のニューヨーク州(感染者が前日より2950人増加)は20日、22日夜から薬や食品を除く全企業の従業員を在宅勤務にするよう命じ、他の4州も同様の措置を取りました。
カリフォルニア州は19日、「大きな対策を講じなければ8週間で人口の56%が感染し、20%が入院することになる」として、4000万人の全住民に「外出禁止(自宅待機)」を命じました。
食料品や医薬品、生活必需品の買い出し▽病院の受診▽銀行やガソリンスタンド▽散歩やジョギングなどは可能で、客と客との間隔を6フィート(1・8㍍)に保つよう指示されています。
このような措置は、社会的隔離政策と呼ばれます。欧州ではオーバーシュートが起こっており、スペインも外出禁止、イギリスも飲食店や劇場、レジャー施設の営業を禁止し、可能な限り自宅勤務としました。イタリアは21日、生活必需品以外の生産活動を停止すると発表しました。人と人との接触を可能な限り減らし、感染拡大を防ぐためです。
日本では、社会的隔離政策が弱く、東京など大都会でのオーバーシュートが懸念されています。
新型コロナは、国民の6~7割が感染して集団免疫を獲得するまでは、感染の山と終息を繰り返すと見られています。一つ目の山で集団免疫を獲得するほど感染が拡大すれば、医療体制は崩壊します。感染症対策として、一つ目の山のピークをいかに遅らせ、低くするかが問われます。医療崩壊を防ぐためにベッドや医療スタッフ、薬、人工肺などの医療機器や資材など必要な医療資源を確保しつつ、患者を治療できる体制を維持し、山を乗り越えることが重要です。
そのためには、ベッドなどの受け入れ体制、検査体制の強化は必須です。検査は、PCR検査の他に中国企業が開発した抗体検査キットがあります。導入を進める塩野義製薬によると、微量の血液採取器具とキットを使って初期に産生されるIgM抗体と遅れて産生されるIgG抗体の両方を測定し、感染の有無を確認します。10分で検査結果が得られ、中国の臨床試験では感度94%と高い性能を示しました。ドライブスルー方式で大量検査をすることも可能です。抗体検査を広げることで、抗体陽性だった患者をPCR検査につなげるという感染者確認の効率化ができ、クラスターの発見のためにも日本での導入が求められます。
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